慰謝料請求された
不貞行為で慰謝料請求された際の対処法を弁護士が徹底解説!

結婚している人と肉体関係を持ってしまうと、その相手から慰謝料請求されるリスクがあります。
この場合にどう対応するのが良いのでしょうか?またやってはいけないことはあるのでしょうか?
このページでは、不貞行為で慰謝料請求された際の対処方法についてお伝えします。
目次
1.不貞行為で慰謝料を請求されたらどんなことが起こるのか
不貞行為で慰謝料を請求されたらどんなことが起こるのでしょうか。
1-1.相手方配偶者から電話などで慰謝料の請求をされる
相手方配偶者から電話などで慰謝料の請求をされることがあります。
電話がかかってくることもあれば、昨今はSNSを利用して連絡をしてくることもあるでしょう。。
法律上、慰謝料請求の方法に決まりは無いので、連絡が取りやすい方法で連絡してくるでしょう。
1-2.相手方配偶者から内容証明郵便が送られてくる
相手方配偶者からの連絡手段の一つとして、内容証明郵便で文書が送られてくることがあります。
内容証明郵便とは、郵便物の特殊取扱の一つの種類で、文書の内容を証明してくれるものです。
文書の内容を証明してくれるに過ぎないものですが、通常文面は威圧的な内容で書かれていることが多いため、心理的に圧迫を受けるかもしれません。
相手方配偶者としては本気で請求する強い意思を示すために、内容証明郵便を用いて送ってくることがあります。
1-3.裁判を起こされるなど法的手続き
裁判を起こされるなどの法的手続きにて請求が行なわれる可能性があります。
慰謝料の支払いに応じない場合や、慰謝料の額や支払い方法について話し合いがつかない場合、相手は裁判を起こすなどの法的手続きを行わなければ最終的な解決ができません。
そのため、相手方としては裁判を起こすなどの法的手続きに及ぶことになります。
法的手続きには、通常の裁判(訴訟)のほか、民事調停、支払督促、少額裁判などの手続きがあります。
1-4.強制執行
裁判を起こされ敗訴するなどして、支払い義務が確定してもなお支払わない場合には、強制執行が行われます。
強制執行では、自宅にある動産や不動産があれば不動産、銀行預金や給与の一部も差し押さえの対象となります。
給与の差し押さえは会社にも通知が行きますので、できる限り避けなければなりません。ただし、強制執行は事前に知る方法はありませんので、強制執行が開始される前に相手方と話し合いをして強制執行を回避した方が良いでしょう。
1-5.自宅や勤務先に乗り込んでくる
慰謝料請求の方法として注意が必要なのが、相手方が自宅や勤務先に乗り込んでくることがあることです。
相手方からの請求への対応に誠意がないと感じられたり、相手方が激昂してしまって我を忘れているなど、冷静に交渉ができなくなっている状態になっているときに、このような事態に陥ります。
このような事態に陥ると、近所や職場で不倫をしていたことを暴露されるなどの不利益が生じるので、速やかに適切な対応をする必要があります。
2.不貞行為で慰謝料を請求された際のNG行動
不貞行為をして慰謝料を請求された場合にしてはいけないNG行動には次のようなものがあります。
2-1.無視をし続ける
不貞行為をしたとして慰謝料を請求された際のNG行動として、無視をし続けることが挙げられます。
相手が不貞行為の証拠を持っているような場合には、不貞行為の慰謝料請求からは逃れられません。
お金を払いたくない、お金が払えないという場合でも、最終的には強制執行をされることになりかねませんので、無視をし続けることは得策とは言えません。
また、裁判になった際には、無視をし続けていることを、悪質性が高いと判断して、慰謝料を増額する要素になる可能性すらあります。
また、不貞行為を行なっていないにも関わらず、不貞行為を行なったとして慰謝料請求をされている場合でも、裁判を起こされても無視していると、欠席裁判で相手の勝訴となってしまい、強制執行をされるリスクがあります。
どちらの場合でも、無視をし続けることで、相手の感情に火をつけてしまって、自宅や職場に押しかける行為にも繋がりかねません。
不貞行為を行なった、行なっていないに関わらず、無視をし続けることは絶対にやめましょう。特に裁判所から通知が来ている場合には注意してください。
2-2.相手の主張を精査せず支払ってしまう
相手の主張を精査せずに支払ってしまうのは良くありません。
精神的苦痛に基づく慰謝料請求については、日本の裁判実務では当事者の感情からすれば低い金額であると感じることがほとんどです。
相手が主張している慰謝料の額が相場通りであることは少なく、多めに請求してくることが珍しくありません。
また、相手が主張をしていても、相手が証拠を保有していないために、裁判になった場合に認定してもらえない可能性もあります。
そのため、まずは相手が主張する慰謝料が適正な金額か、相手が主張する事実を証明する証拠を持っているのか、などをしっかりと精査したうえで、対応するようにしましょう。これらを精査せずに支払ってしまうことはNGであるといえるでしょう。
2-3.不貞行為が発覚しても相手との関係を継続すること
不貞行為が発覚して慰謝料請求をこれからされる、あるいは、すでにされているにもかかわらず、相手との関係を継続することはNGです。
相手との関係を継続してしまうと、精神的苦痛がより大きいとして、慰謝料の金額が増額されることになりかねません。
2-4.不用意な言動
不用意な言動をすることはNGです。
たとえば、不貞行為を認めるような発言をすれば、もし相手が不貞行為の証拠を持っていないような場合に、相手に対して有利になることになります。「認めていること」も一つの証拠となってしまうのです。
また、慰謝料の支払いに応じる旨の発言をしてしまうと、その前提として不貞行為があったことを認めたと捉えられかねません。
これらの不用意な言動をしないように、しっかりと注意して対応しましょう。
2-5.相手の神経を逆なでするような言動
相手の神経を逆なでするような言動も絶対にNGです。
たとえば、「不貞行為に至ったのはあなたのせいである」「私のほうがふさわしい」など、相手の神経を逆なでするような言動をしてしまうことがあります。
このような言動は、慰謝料が増額されることになりかねませんので、控えるようにしましょう。
3.不貞行為で慰謝料を請求された際の対処法
不貞行為をしたとして慰謝料を請求された際の正しい対処法としては次の通りです。
3-1.請求内容についてきちんと確認する
まず、請求内容についてきちんと確認をしましょう。
不貞行為に関する事実(不貞行為をいつから・どれくらいの頻度で行なっているか)や、慰謝料の金額、返答・支払いの期限がいつになっているかなどを確認します。
また、不貞行為を行なった相手が「子どもはいない」と話していても、実際には子どもが居るというケースもあります。
このような、慰謝料の額の基礎となる事実についてきちんと調べて確認しましょう。
相手が証拠を持っているという場合には、その証拠の写しなどの開示を求めたほうが良いでしょう。
3-2.相手の主張が正当かどうかを判断する
相手の主張が正当かどうかを判断します。
たとえば、相手が結婚していることを知らなかったような場合、そのことに過失がなければ不法行為が成立せず、慰謝料の支払いをする必要はありません。
このような場合には、相手方配偶者からの、結婚していることを知りながら不貞行為を行なったとの主張に対して、結婚していることを知らず、過失はなかったという反論をすることになります。
また、相手が証拠もなく不貞行為をしていると主張する場合には、裁判を起こされても不貞行為が認定されず、慰謝料の支払いをする必要がないケースもあります。
また慰謝料の額については、通常は相場よりも高く主張してくることがあるので、その額が正しいのかどうかは精査する必要があります。
相手の主張が正当かどうか、立証可能かどうかを判断しましょう。
3-3.相手の主張に対して回答を行う
相手の主張を精査したら、それに対しての回答を行います。
相手の主張が正当ではない場合には、相手の主張が正当ではないことと、その理由を示しましょう。
相手の主張が正当である場合には、慰謝料の支払いについての交渉を行いましょう。
一括での支払いができない場合には、分割での支払いを認めてもらえるように交渉してみましょう。
3-4.法的手続きに対応する
相手との交渉がうまくいかない場合、相手が裁判などの法的手続きを行うことがあります。
これを無視すると、相手の主張が通った扱いになりかねません。
裁判を起こされた場合には、答弁書・準備書面を作成して、出廷を行うなどの、きちんとした対応を行うようにしましょう。
3-5.過剰な行為には毅然とした対応をする
自宅や職場に押しかけてきて、近所や職場の同僚などに聞こえるように大声で支払いを求めてくるなど、度が過ぎた請求を行うような場合には、毅然とした対応を行うことが必要です。
不貞されたからといって、何をしても良いわけではありません。
場合によっては、こちらから裁判をしたり、警察に相談をするようなこともあります。
4.不貞行為の慰謝料の相場
不貞行為を行なった場合の慰謝料の相場はどのくらいなのでしょうか。
4-1.不貞行為の慰謝料の相場は50万円から300万円
不貞行為の慰謝料の相場は、一般的には50万円から300万円となります。
50万円~300万円と幅があるのは、相手方夫婦が不貞を原因に離婚するかどうかや、不貞行為の期間・頻度・その他の事情などを考慮して精神的苦痛の程度により金額が変わるからです。
4-2.不貞行為の慰謝料が増額する要因
不貞行為の慰謝料が増額する要因としては次のような事情によって相手の精神的苦痛が強いとされる場合です。
- 不貞行為が原因で離婚するに至った
- 婚姻期間が長い
- 未成熟子がいる
- 不貞行為で妊娠をした
- 不貞行為の期間が長い
- 不貞行為の頻度が多い
- 積極的に不貞行為に誘った
- 不貞行為が露見した後も不貞行為を続けた
- 相手方に対して神経を逆なでする発言を行なった
これらの事情がある場合には、不貞行為が原因で生じる精神的苦痛も大きいので、慰謝料が増額する用意となります。
4-3.不貞行為の慰謝料が減額する要因
一方で、次のような事情がある場合には、不貞行為の慰謝料は減額します。
- 不貞行為が原因で離婚をするには至っていない
- 婚姻期間が短い
- 子どもがいない
- 不貞行為の期間が短い
- 不貞行為の頻度が少ない
- 積極的に誘ったわけではない
- 反省をしている
これらの事情があると、精神的苦痛の程度は少なくなるといえるので、慰謝料の額が減額する要因になります。
4-4.慰謝料請求に応じる必要がない場合
なお、形式的には不貞行為にあたる場合でも、相手方に対して不法行為を行なったものではないと評価できる場合には、慰謝料請求に応じる必要はありません。
例えば、
- 不貞行為を行なった配偶者が独身であると偽っていた場合でそう信じることに過失がない
- 不貞行為を行なった配偶者による強制性交である
- 夫婦の婚姻関係が実質的には破綻している
- 慰謝料請求権が時効で消滅している
慰謝料請求は、民法の不法行為に基づく損害賠償請求権が根拠となっています。
そのため、慰謝料を請求するためには、相手に故意・過失が必要です。
独身であると偽っていた場合や、強制性交であるような場合には、不貞行為であるとしても故意や過失があるとはいえず、慰謝料請求に応じる必要はありません。
また、不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害と相手を知ったときから3年、不法行為をしたときから20年で時効にかかることになっています。
これらの場合には、慰謝料請求に応じる必要がありません。
5.不貞行為で慰謝料請求されたときに自分で対処するリスクとは
不貞行為で慰謝料請求をされたときに、自分で対処を行うと、次のようなリスクがあります。
5-1.慰謝料請求が適切かどうかの判断を誤る
慰謝料請求が適切かどうかの判断を誤る可能性があります。
慰謝料請求自体が正当なのかどうか、慰謝料の額が適切なのかについては、民法などの法律知識はもちろん、慰謝料のついての判例や実務に詳しくないと、判断をするのが難しいといえます。
これらの知識がないまま対応をして、払わなくて良い慰謝料を支払わされたり、多く慰謝料を支払うということになりかねません。
5-2.精神的にキツい思いをする
非常に精神的にキツい思いをすることになります。
不貞行為の慰謝料請求は、通常の金銭請求とは異なり、非常に厳しい支払いについての交渉となります。
相手方本人が請求をしてくる場合、感情的に支払いを迫ってきます。
どんなに冷静に反論しても話が通じない、分割での支払いをお願いしても簡単に応じてもらえない、といったことも珍しくありません。
また、上述したように、不貞行為の被害者という意識から、慰謝料請求として相当な範囲をこえる方法で請求を行なってくることもあります。
精神的にキツい交渉を強いられることになります。
5-3.交渉が長引く
交渉が長引くことが予想されます。
当事者双方が法律の専門家を介さない場合には、慰謝料はいくらになるのかどちらもわからないことが珍しくありません。
そのため、当事者双方が納得いく金額を確定できず、交渉が長引くことが多いです。
6.不貞行為で慰謝料を請求されたときに弁護士に相談するメリット
不貞行為として相手から慰謝料の請求をされたときに、弁護士に相談するメリットとしては次のものが挙げられます。
6-1.法的なサポートを得ることができる
不貞行為で慰謝料を請求された場合、不法行為に関する民法などの法律や、慰謝料の金額についての実務知識、法的手続きとなった場合の手続きに関する知識、裁判になった場合の証拠に関する知識など様々な法的知識が必要となります。
弁護士に相談することで、これらの法的なサポートを受けることができます。
6-2.精神的に楽になる
弁護士に依頼すれば弁護士が代理人となって相手方と交渉してくれます。つまり、相手と直接交渉する必要がなくなります。
不貞行為をおこなった場合の他方の配偶者と交渉をするのは、上述した通り非常に精神的にも厳しい交渉を強いられます。
弁護士に相談すれば、精神的にも楽になれますし、依頼してしまえば相手方との交渉を任せることができるので、精神的に非常に楽になります。
6-3.スムーズに解決する
慰謝料請求の問題がスムーズに解決する可能性があります。
弁護士に相談すれば、慰謝料の支払い義務の有無や、慰謝料の額の相場、主張すべき内容がある程度わかるようになります。
また、弁護士に依頼してしまえば、当事者が面と向かうことが無くなりますので、必要以上に感情的になってしまうということが避けられます。
相手方にも弁護士がついているような場合には、弁護士同士で事実関係に関する交渉を淡々と行うのみになります。
その結果、スムーズに解決することが期待できます。
6-4.弁護士への相談は無料でできる
弁護士に相談する場合に気になるのが相談料です。
通常は30分5,000円程度の法律相談料がかかります。
しかし、市区町村の法律相談や、法テラス、弁護士会の無料相談などを利用すれば、無料で相談できますし、不貞行為の慰謝料請求のような個人の法律問題については無料で相談できる弁護士がいるので、積極的に利用してみましょう。
弁護士法人PRESIDENTでは、初回60分無料で相談をすることができるので、利用してみてください。
7.不貞行為の慰謝料請求された際のよくあるQ&A
不貞行為の慰謝料請求をされた際によくあるQ&Aとしては次のようなものが挙げられます。
7-1.相手にどんな証拠があるのか知ることはできる?
相手にどんな証拠があるか知ることはできるのでしょうか。
証拠を見せるかどうかは相手の裁量になり、証拠がある場合で提出してもらえることが確実なのは、裁判を起こされた場合だけです。
これは、裁判では主張した事実を確定するためには証拠によらなければならないからであり、裁判で証拠を出して立証しなければ主張した事実が存在しないものと取り扱われるからです。
これらの前の段階では証拠を見せてくれるかについては相手方次第となります。
7-2.慰謝料請求されたが払えないときはどうなるの?
慰謝料請求された場合でも、そのお金を用意できないことがあります。
その場合には、まず支払うことができないので、減額してもらえないかを交渉してみましょう。
減額に応じてもらえない場合には、分割で支払うように交渉をしてみます。
なお、分割での支払いを依頼した場合には、公正証書で作成して欲しいと依頼される場合があります。
公正証書とは、公証人が作成する文書のことをいい、執行受諾文言がついている公正証書がある場合は裁判所の判決と同じ効力がありますので、裁判なしに強制執行をすることができるので注意しましょう。
仕事をしていない、借金があるなどで慰謝料請求をされても支払うことができない場合には、自己破産や個人再生など、債務整理を検討することになります。
8.まとめ
このページでは、不貞行為を行なってしまった結果、慰謝料請求をされた場合の対処法についてお伝えしました。
不貞行為で慰謝料請求をされた場合、適切な対処をしなければ、本来払う必要のない慰謝料を支払ったり、相場よりも高い慰謝料の支払いをすることになってしまいかねません。
慰謝料を払うべき事案か、請求されている慰謝料の額が適切かを見極めて、適切に交渉する、相手が取った手続きに対応する必要があります。
弁護士とどのような対応が必要か相談し、交渉も弁護士に依頼して任せてしまうことも検討しましょう。
投稿者プロフィール
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- 一歩法律事務所弁護士
-
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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