慰謝料請求したい
旦那の不倫が発覚した際の対処法やNG行動を弁護士が解説!

「旦那が部下の女性と不倫していたことがわかってショックを受けています。子供が小さいので離婚するかどうか迷っています。離婚するにしてもしないにしても相手の女性が許せないので慰謝料請求したいのですが、それは可能でしょうか?」
このように、旦那様の不倫で悩む女性からのご相談を頂くことがよくあります。
本記事では、旦那様の不倫が発覚した場合の対処法やNG行動について解説します。
目次
1.男性が不倫をするよくある理由
男性が不倫をする理由として、どのようなものがあるでしょうか。
一般的には、既婚男性の方が度量が大きく優しさがある・他人の話を聞くのが上手いなどコミュニケーション力が高い傾向があり、独身の若い女性には魅力的に見えるということ等が考えられます。その他、不倫する理由としては以下のものが考えられます。
1-1.刺激を求める
結婚してから数年がたって、妻が子供にかかりきりになっていたり、夫婦生活がマンネリ化してきたこと等から妻を女性として見られなくなり、他の女性に刺激を求めて不倫に走ってしまうということが起こりがちです。会社の部下の女性に言い寄るというのはよくありますが、最近では独身を装って婚活サイトで出会った独身女性と交際したり、不倫のマッチングアプリでダブル不倫したりするケースも増えています。
1-2.仕事等のストレスから解放されたい
残業が多かったり、中間管理職的な立場で上司・部下の両方に気を遣わなければならない等、仕事でストレスを抱えている一方で家に帰っても妻が自分のほうを向いていない。このような状況にある男性に起こりやすいのが、自分の話をよく聞いてくれる女性に癒しを求めてしまうことです。キャバクラ等の接客業の女性と不倫関係になるケースではこのような原因があると考えられます。
2.旦那が不倫している可能性があると思ったらやるべきこと
確実な証拠があるわけではないが、相手が不倫しているかもしれないと思った場合、この段階で相手のスマホのロックを解除して中身を見たりすることはお勧めしません。不倫を疑っていることを旦那に気づかれて、ガードを固められてしまう可能性があるからです。相手を問い詰めたりしても同様です。
そこで、旦那が不倫している可能性があると思ったら、「不倫している様子があるか否か」をそれとなく注意して見るようにしてください。
男性の場合は上着やワイシャツ・ズボン等のポケットに色々入れたまま洗濯機に入れてしまったり、部屋に放置していたりすることがよくあります。旦那が不在の間にワイシャツやズボンのポケットの中を調べる程度は問題なくできるはずです。
特に、ポケットに何か入れたまま洗濯機に入れてしまった場合は、本来中身を取り出すべきものです。例えば紙類が入ったまま洗濯してしまったら、破片が洗濯物全てにくっついて大変なことになるからです。
そこで、洗濯機に入れられた衣類は細かくチェックすることをおすすめします。これについては「紙類が入ったまま洗濯してしまうことを防ぐため」という正当な理由があるので、旦那にプライバシー侵害を問題にされる心配はありません。旦那の勤め先や出先の近隣ではない地域の店や高級レストランのレシート等が出てきたらチャック付きの袋に入れて保管してください。
3.旦那の不倫が発覚したらまずやるべきこと
旦那が不倫していることを確信したとき、まずすべきことは「相手と交際して性的関係を持った事実」を証明するための証拠集めです。なぜなら、離婚を求めるか否かにかかわらず、慰謝料請求するためには最終的に裁判で「相手と交際して性的関係を持った事実」があったことを認めてもらう必要があるからです。
本章では、離婚や慰謝料請求に備えてどのような証拠を集めればよいかについて解説します。
3-1. 離婚や慰謝料請求するための証拠を集める
旦那に離婚や慰謝料を請求するための証拠となるものとして、以下のような資料が挙げられます。
・自宅やホテル等において性交渉もしくは性交類似行為そのものを撮影した写真又は動画
・不倫を認めた書面やメール、LINE等
上記の証拠がない場合には、不倫の事実をうかがわせる証拠を集める必要があります。考えられる証拠の一例として以下のものが挙げられます。
★★はそれ自体が有力な証拠となるものです。★は、単独では有力な証拠になるとはいえないものの、他の証拠と合わせることによって証拠としての価値を持つものです。
★★配偶者と不倫相手がラブホテルや宿泊施設に出入りする場面の画像
★★配偶者や不倫相手の裸の写真(配偶者や不倫相手の携帯電話やPCに保存されている)
★★配偶者と不倫相手との、性的関係を推測させる内容の通話音声
★★配偶者と不倫相手とのメール、LINE、手紙等のやり取りで性的関係を推測させる内容のもの
★★配偶者と不倫相手との、性的関係を推測させる外出場面の動画
★★産婦人科の診療明細等、妊娠や人工妊娠中絶の事実の証拠となるもの
★★探偵事務所の調査報告書(上記に挙げた動画や音声等を含む)
★配偶者や不倫相手のSNS投稿で、性的関係を推測させる内容のもの
★手帳、日記、メモ等で、不倫相手と会う予定が記録されたもの
★クレジットカードの利用履歴やレシート類で、宿泊施設を利用したことがわかるもの
★GPSのデータで、ラブホテル等の宿泊施設に行ったことを推測させるもの
★ドライブレコーダーやカーナビの履歴で、不倫目的の外出や行先を推測させるもの
3-2. 不倫相手に慰謝料請求するための証拠を集める
また、不倫相手に対する慰謝料請求を考える場合は、上記の証拠に加えて「旦那を既婚者であると知りながら性的関係を持ったこと」(故意)を立証するための証拠を集める必要があります。故意の立証に役立つ証拠としては以下のものがあります。
(1)故意があったことを推測させる内容の通話音声
例えば、旦那の「嫁にバレる」「もう少しでバレるところだった」「やばかった」等という発話があれば、相手も既婚者と性的関係を持っている認識があることがわかります。
また、「よくごまかせたね」等の相手の発話があればさらに貞操権侵害の故意があることが明確になります。
(2)故意があったことを推測させる内容のメッセージのやりとり
「妻」「嫁」等の被害者を指す言葉が入っている等、貞操権侵害の故意があったことを推測させる内容のLINE・メール等のメッセージのやり取りの画面(スクショではなく画面を撮影したもの)
4.旦那の不倫が発覚してもやってはいけないこと
他方で、旦那の不倫が発覚してもやってはいけないこととして以下のことが挙げられます。
4-1. 暴力・暴言・脅迫
特に、不倫現場やそれが疑われる場面を目撃してしまった時やその直後に、憤りにかられて不倫相手に対して暴行したり暴言を浴びせたり、「殺すぞ」「親とか会社にバラすぞ」と脅す等の行動に出てしまいがちです。
これは無理もないことではあるのですが、不倫自体は刑法や他の犯罪にはあたらないので、不倫相手に対する暴行や脅迫が刑法の正当防衛(刑法第36条)や緊急避難(刑法第37条)によって正当化されるわけではありません。
暴力に及んだ場合には暴行罪(刑法208条)又は傷害罪(刑法第204条)、暴言を浴びせた場合には名誉毀損罪(同第230条)又は侮辱罪(同第231条)、脅した場合には脅迫罪(同第222条)に該当する可能性があります。
また、身体的暴力行為と脅迫行為は、1回限りのものであっても民事上の不法行為に該当します。
このことから、逆に不倫相手から慰謝料請求されたり、暴行・脅迫の程度によっては刑法上の罪に問われる可能性があります。
4-2. 不倫相手の自宅への立ち入り・所有物持ち出し・毀損行為
報復目的に限らず、証拠収集の目的であっても、不倫相手の自宅をつきとめて立ち入ったり、所有物を持ち出したり、家財道具を壊したり使用不能にさせたりする行為は全て犯罪となる可能性があります。
すなわち、不倫相手の自宅に許可なくして立ち入った場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)、不倫相手の所有物を勝手に持ち出す行為は窃盗罪(同第235条)、家財道具を壊したり使用不能にさせる行為は器物損壊罪(同第261条)に該当する可能性があります。
4-3. SNSで投稿すること
旦那の不倫についてSNSで投稿することも、プライバシー侵害や名誉毀損にあたる可能性があります。
特にインスタのアカウント名を実名(ローマ字含む)にしている場合やFacebookのような実名前提のアカウントでの投稿は、不特定多数の人が投稿者氏名を知ることができるので、不倫当事者の氏名を出さなくてもプライバシー侵害に加えて名誉棄損に該当する可能性が高くなります。
そのため、旦那や不倫相手に対して慰謝料請求する際に大幅な減額を要求されたり、逆に旦那や不倫相手から不法行為に基づく損害賠償請求をされる可能性があります。
5.旦那の不倫が発覚したら弁護士に相談するメリット
本章では、旦那の不倫が発覚した場合に弁護士に相談するメリットについてご説明します。
5-1. 不倫相手に対する慰謝料請求を相談するメリット
(1)不倫相手の特定が容易になる
不倫相手に対する慰謝料請求で最初にネックとなりやすいのが、不倫相手の住所氏名の特定です。個人情報保護法の施行以来、第三者が個人の住所や氏名を特定することは難しくなっています。
この点、不倫相手の固定電話・携帯電話のいずれかの番号または所有する車のナンバープレートが判明している場合は、弁護士に相談すれば弁護士会照会制度を利用して通信事業者や運輸局に登録者住所氏名照会を行うことができます。
このうち、携帯電話番号については、旦那のスマホの携帯キャリア電話アプリに登録されている可能性が高いので、比較的容易に見つかる可能性があります。この点、旦那のスマホをのぞき見することは、プライバシー侵害にあたりうる行為です。しかし、実際問題として、不倫慰謝料の請求において、プライバシー侵害が問題となることは少ないかと思われます。プライバシー侵害の程度は、不倫による権利侵害に比べて軽微ですので、裁判等では、特段の事情のない限り、プライバシー侵害はそれほど考慮されないように思われます。
(2)証拠収集方法について助言を受けられる
①証拠収集を被害者本人が行うのは大変
次にネックとなるのが「証拠収集」です。配偶者や不倫相手が不倫の事実をすぐに認めて慰謝料請求に応じてくれれば証拠は必要ありません。
しかし、多くの場合は不倫の事実を認めさせるための証拠を集める必要が生じます。また、離婚請求や不倫の慰謝料請求の交渉が成立せずに訴訟になった場合は、原告側(離婚や慰謝料を請求する側)が不貞行為の事実を立証しなければなりません。
また、証拠を集めるにせよ、どのような証拠を収集すればいいのか、悩まれることも多いかと思います。
②弁護士に相談すれば証拠収集の悩みが解決する
この点、男女問題に強い弁護士に相談すれば、個別の事情に応じて必要となる証拠の種類や、それぞれの証拠の集め方について詳しいアドバイスを受けることができます。さらに、必要な場合は信用できる探偵事務所(興信所)を紹介してもらうことができます。
(3)適正な請求額を算定してもらえる
不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、さらに問題となるのが「いくらぐらい請求できるか」ということだと思います。被害者が不倫相手に対して憤りにかられて多額の慰謝料を取りたいと思うのは当然です。
しかし、慰謝料額の算定は①不倫関係のあった期間や不貞行為が行われた頻度 ②婚姻期間や夫婦関係が円満であったか否か ③未成熟の子供の有無や人数 ④不倫当事者の資力 ⑤被害者が離婚を求めるか求めないか ⑥離婚を求める場合は他に財産分与や養育費等財産的な問題で交渉する必要があるか否か ⑦離婚を求めない場合は配偶者と不倫相手の一方または両方に請求するか等、さまざまな要素を総合的に判断して行う必要があります。
弁護士に相談することにより、経験に基づいて適正な慰謝料額を算定してもらうことができます。
(4)内容証明送付・示談交渉・訴訟等の法的手続を任せることができる
不倫相手に対して慰謝料を請求するにあたっては法的な手続を行う必要があることも、被害者にとってはネックとなりがちです。個人で内容証明を送っても、相手が無視したり交渉に応じてくれない可能性があります。あるいは相手側が弁護士を立ててくるということも想定されます。また、何よりも、不倫の当事者と直接やり取りするのは時間的にも精神的にも負担が大きいです。
この点、男女問題を専門とする弁護士に相談すれば、代理人として相手方と対等な立場で交渉することができます。また、交渉が成立せずに訴訟で争うことになった場合も、本人単独では困難な訴状提出・証拠提出・裁判出席・和解交渉等の訴訟手続をすべて任せることができます。
5-2. 離婚について弁護士に相談するメリット
不倫を原因として離婚を求める場合、離婚協議では慰謝料以外にさまざまな事項について取り決めることになります。関係が破綻してしまった配偶者との間ですべての協議事項について円滑に協議が進むことはあまりなく、訴訟まで進む可能性もあります。
この点、男女問題を専門とする弁護士に相談すれば、婚姻生活の状況・双方の財産状況・不貞行為が行われた状況等を聴き取った上で、経験に照らして妥当な財産分与額や慰謝料・養育費などを提示することができます。
また、代理人として相手方と交渉することもできます。合意が成立せずに調停や訴訟に進んだ場合も、手続をすべて任せることができます。
6.旦那の不倫に関するよくあるQ&A
本章では、旦那の不倫に関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。
6-1. 旦那が独身と偽って交際した相手への慰謝料請求
Q. 旦那がマッチングアプリで独身と偽って出会った女性と交際していることがわかりました。離婚を考えていますが、相手の女性に対しては慰謝料請求できるでしょうか?
A.慰謝料請求が認められるには、まず①性的関係があったこと、②性的関係があった時点で女性が交際相手(旦那様)を既婚者だと知っていたこと(故意)が必要です。
交際しているが性的関係に至っていない場合や、交際中、旦那様を未婚者であると過失なく信じていた場合には、慰謝料請求は認められません。
他方、最初に性的関係を持った後で既婚者であることがわかり、それを知りつつその後も性的関係を持っていたという場合は、慰謝料請求が可能です。
ただし、性的関係に至るまでの経緯を考えると、認められる慰謝料額は数十万円程度と思われます。
6-2. 不倫現場で鉢合わせしたが他の証拠がない場合
Q.先日、昼間一人で少し遠出した時に、旦那と知らない女性が手をつないで歩いているところに鉢合わせしてしまいました。2人はすぐに走り去り、私は動転してしまって証拠写真や動画を撮ることができず、仕方なく現場付近の写真だけ撮りました。それまで不倫の気配はなく、その後もその写真以外に証拠になりそうなものが見つかりません。子供はいないのですが、旦那はそれ以来家に帰ってこないので離婚を考えています。このような場合に、離婚とは別に相手の女性に対して慰謝料請求することは可能でしょうか?
A.前述のとおり、慰謝料請求が認められるには、まず①性的関係があったこと、②性的関係があった時点で女性が交際相手(旦那様)を既婚者だと知っていたこと(故意)が必要です。
本件では、旦那様と知らない女性が公然と手をつないで歩いていることや、2人があなたを見てすぐに走り去ったことから、単なる友人関係を超えて交際関係にあり、女性が旦那様を既婚者と知っていたことは推認できるように思われます。
しかし、性的関係があったことを立証するには不十分といえます。
例えば、すぐ近くにラブホテルがあり、その出入口付近から手をつないで出てきたといった場合を除き、上記事実や現場付近の写真のみをもってしては、性的関係があったことの有力な証拠とはなりません。
旦那様が不倫の事実を認めず、争いになった場合には、上記の①と②を原告側が立証する必要があります。この場合、現時点では訴訟での慰謝料請求が認められる可能性は高いとはいえません。
なお、慰謝料請求する前提として相手の女性の住所と氏名を特定することが必要となります。旦那様に聞き出すのは難しいと思われますが、女性の自宅または携帯電話の電話番号・LINEのID・女性が所有する車のナンバーのいずれかがわかりましたら、弁護士にご相談いただければ弁護士紹介制度を利用して住所氏名を特定することが可能です。
7.まとめ
旦那が不倫していることがわかった時は、動転して冷静に考えることができなくなってしまうと思います。しかし、報復行為を行うと自分が不利益を受けるだけなので行わないでください。また、証拠収集目的であっても犯罪にあたる行為が法的に正当化されるわけではありません。
この点、男女問題を専門とする弁護士に相談することにより、証拠収集のためにやって良いこととNG行動について詳細なアドバイスを受けることができます。慰謝料請求する場合や配偶者に離婚を求める場合も、法的手続をすべて任せることができます。
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投稿者プロフィール

- 弁護士
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■経歴
2019年12月 弁護士登録
2020年1月 都内法律事務所にて勤務
2021年8月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務
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