ハラスメント

セクハラに遭った際の対処方法と訴える流れを弁護士が解説!

セクハラに遭った際の対処方法と訴える流れを弁護士が解説!
この記事をSNSでシェア!

1.セクハラとは何か

セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、企業・団体・教育機関等の各種の職場において特定または不特定の労働者の意に反して行われた性的な言動・行為のことを指し、詳しくは、男女雇用機会均等法(以下「均等法」といいます)第11条1項に基づいて厚生労働省が定めた指針(平成18年厚労省告示第615号)により定義されています。

本記事では、セクハラの定義・種類及び、セクハラ防止に向けた事業者の法的義務やセクハラの加害者と加害者を雇用する事業者が負う法的責任について解説します。

1-1.セクハラの定義

前掲厚労省告示第615号によると、職場におけるセクシュアルハラスメントとは(1)「職場」において行われる、(2)「労働者」の意に反する(3)「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることをいいます。加害者・被害者の性別は問われず、また同性に対して行われたものも含まれます。

(1)「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指します。労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。従って、例えば①取引先の事務所、②打合せ・接待のために利用する飲食店、③顧客の自宅、④取材先、⑤出張先、⑥業務で使用する車中なども「職場」に該当します。

(2)「労働者」とは、事業主が雇用するすべての労働者をいいます。従って正規労働者に加えてパートタイム労働者・契約社員などの非正規労働者も含まれます。また、派遣労働者については派遣元事業主・派遣先事業主ともにセクハラ防止措置を講じる必要があります。

(3)「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指します。

性的な言動の行為者となりうるのは事業主、上司や同僚に限らず、取引先、顧客、職場が医療機関である場合の患者、職場が学校である場合の生徒なども含まれます。また、同性に対する性的な言動もこれに含まれます。

1-2.セクハラの種類

厚労省の指針が定義するセクハラには「対価型」と「環境型」の分類があります。

(1)対価型セクハラ

対価型セクハラとは、「職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの」をいいます。

すなわち、労働者の意に反する性的な言動に対して労働者が拒否したり抵抗したりすることにより、その労働者が解雇・降格・減給・労働契約の更新拒否・昇進/昇格の対象からの除外・客観的に見て労働者の不利益となる配置転換などの不利益を受けることです。

対価型セクハラの典型的な例として以下のようなものがあります。

①労働者が通常勤務する会社事業所内で社長(事業主)が労働者に対して性的関係を要求したが労働者が拒否したため、社長がその労働者を解雇した

②当該労働者が上司に同伴して出張中、業務用の乗用車内で上司が労働者の胸などに触ったが労働者が抵抗したところ、労働者に対して遠方の事業所への転勤が命じられた

③会社の営業所内で、社長(事業主)が日頃から配属の労働者(主任職)の交際関係などについて公然と発言していたため、その労働者が抗議したところ労働者を主任職から外した

(2)環境型セクハラ

環境型セクハラとは、職場において行われる性的な言動によって労働者の就業環境が害されるものをいいます。

すなわち、職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動によって労働者の就業環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど当該労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障を生じさせることです。

環境型セクハラの典型例としては以下のようなものがあります。

①当該労働者が勤務している事業所内で、上司が労働者の胸や腰などにたびたび触ったため、労働者が苦痛に感じて働く意欲が低下してしまった

②取引先において、同僚が労働者の身体のサイズや交際関係など性的な内容の情報を意図的、かつ継続的に流したためその労働者が苦痛に感じて仕事が手につかなくなった

③当該労働者が勤務している事業所内に女性のヌードポスターを掲示しているため、労働者が苦痛に感じて業務に専念できない

1-3.セクハラに対する法的規制

セクハラに該当する行為に対しては均等法第11条1項により、事業主に対して防止措置を講じることを義務づけています。具体的な防止措置の内容について定めた前述の厚生労働省告示第615号については、その条項の文中に「実施することが望ましい」(努力義務)と記載されているものを除き、事業主は必ず実施しなければなりません。

さらに、2019年5月に国会で可決された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」に基づき、均等法第11条2項以下の改正及び第11条の2の新設が行われ、セクハラ行為に対する規制が強化されました。

(1)改正均等法第11条の2:①セクハラに起因する問題に対して事業主と労働者がそれぞれ関心と理解を深めること及び労働者が関心と理解を深めることができるよう事業主が研修その他必要な配慮を行うように努める義務(同2項~4項) 及び②国がセクハラに起因する問題に対して事業主と国民一般の関心と理解を深めるための広報活動・啓発活動その他の措置を講じるように努める義務(同1項)

(2)改正均等法第11条2項:労働者が事業主にセクハラの相談をしたこと等を理由とする事業主の当該労働者に対する不利益な取扱い禁止

(3)改正均等法第11条3項:他の事業者がセクハラ防止措置を実施するに際して必要な協力を求められた場合に事業者がこれに応じるように努める義務

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

2.セクハラに遭った場合の対処方法

均等法第11条3項に基づき、雇用主は労働者からセクハラの相談があったときは相談に応じる義務があります。大企業では人事部等にコンプライアンス対応窓口などが設置されていることがあり、そういったところに相談することが可能です。また、加害者の責任追及にあたっては証拠収集などの事前準備も必要となります。本章ではセクハラに遭ってしまった場合、被害者がどのように対処すべきか解説します。

2-1.セクハラ被害者の権利

セクハラの加害者及び加害者の所属する事業者はそれぞれ不法行為に基づく損害賠償責任を負うことから、言い換えればセクハラの被害者は加害者側に対して次のような権利を持つことになります。

(1)加害者当人に対しては、人格的利益を侵害され精神的苦痛を受けたとして不法行為に基づく慰謝料請求権(民法第709条・第710条)

また、当該セクハラ行為によって負傷したり鬱病などの精神疾患を患った場合は治療費など、セクハラという不法行為が原因で受けた財産的損害に対する賠償請求権(民法第709条)も有します。

(2)加害者が所属する会社などの事業者に対しては、被用者が不法行為により他人に損害を与えた場合に被用者と共に負う使用者責任(民法第715条)に基づく損害賠償請求権

なお、セクハラ行為の被害者と加害者の所属する事業主が同一であるときには被害者に対して事業主が負う労働契約上の安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく損害賠償請求権(民法第415条)を主張することも可能な場合があります。安全配慮義務については使用者(会社)側が「義務を怠っていないこと」つまりセクハラ防止措置やセクハラ行為後の対応を適切に行っていたことを立証する必要がある点で被害者側に有利といえます。他方、その立証に成功した場合使用者(会社)側が免責されるというリスクがあります。

2-2.相談先の紹介

セクハラの相談先は、事情によって適切な対応窓口が異なります。

(1)社内の通報窓口

会社がコンプライアンス対応窓口などの名称で通報窓口を設置している場合は被害者・加害者の所属部署を問わず相談することが可能です。実際には、加害者が取引先の関係者など社外の人物である場合は相談しやすいといえます。

(2)労働局の雇用環境均等部

会社が通報窓口を設置していなかったり、相談したが取り合ってくれなかった場合、セクハラに該当しうる問題について広く相談を受けつけています。

(3)男女間のトラブルや労働問題を専門とする弁護士

加害行為が悪質で、慰謝料などの賠償金を請求したい場合には弁護士に相談するのがベストです。またセクハラが原因でうつ病などの精神疾患を発症してしまった場合に、加害者に対する請求と別に労働基準監督署に対する労災申請手続を依頼することもできます。

2-3.証拠の収集方法

セクハラによる損害賠償請求・慰謝料請求を行う場合、先に加害者と和解(示談)交渉して加害者が請求を認めれば解決します。しかし加害者との交渉がまとまらない場合、最終的に訴訟を提起して裁判でセクハラ行為が行われたこと・損害発生とその間の因果関係を被害者側が立証する必要があります。特に、セクハラ行為と損害を立証するための証拠を集めることが非常に大切です。

①セクハラ行為の立証に役立つ証拠

悪質なセクハラ行為はしばしば他者がいない場所で行われるため、決定的な証拠を被害者自身が収集することは困難です。被害者自身で収集可能な証拠としては、加害者が性的関係を要求しているとわかる内容のSNSのスクショ画面やメールの履歴、性的関係を示唆するような言動の録音などがあります。

②財産的損害/精神的苦痛の立証に役立つ証拠

セクハラ行為によって負傷した場合やうつ症状などで通院した場合の診断書や診療明細、セクハラ被害について他者に相談した場合の履歴のスクショ画面などが有効な証拠となります。

3.セクハラ訴訟の流れ

悪質なセクハラ被害に遭ってしまった場合は決して泣き寝入りせず、加害者(及び加害者を雇用する事業主)に対して慰謝料や損害賠償を請求すべきです。なお、セクハラ行為に対してはその行為の態様により刑法の強制わいせつ罪(刑法第176条)や強制性交等の罪(刑法第177条)、準強制わいせつ/準強制性交等の罪(刑法第178条)などの刑事責任を問うことも可能ですが、本記事での「セクハラ訴訟」は民事訴訟に限定して、ご説明しています。

3-1.セクハラ訴訟に必要な要件

(1)加害者(個人)を被告とする場合

加害者に対して損害賠償請求/慰謝料請求訴訟を提起する場合、請求が認められるためには以下の要件を充たしている必要があります。

①損害(慰謝料請求の場合は精神的苦痛)が発生していること

②セクハラに該当する行為(違法行為)が行われたこと

③セクハラ行為と損害の間に因果関係があること

④加害者の故意・過失

⑤加害者の責任能力

①と②が認められれば、特段の事情がなければ③④の充足性が大きな問題となることは少ないでしょう。また⑤については加害者が泥酔して記憶を失っている間に起こったことである旨主張する可能性はありますが、泥酔している状態であるということだけで心神耗弱状態による刑の減軽(刑法第39条2項)が認められることは通常ありません。

(2)加害者の所属する事業主を被告とする場合

事業主を被告とする場合は加害者と事業主の連帯責任を追及することになるため、(1)の要件に加えて事業主の使用者責任の要件を充たしている必要があります。すなわち

①(1)の①~⑤の要件を充たすこと

②セクハラ行為が「事業の執行について」行われたものであること

②についてはセクハラ行為が行われた状況が均等法第11条1項の「職場」の定義にあてはまるものであれば認められるといってよいでしょう。なお、民法第715条1項但書によれば、事業主が被用者の監督について相当の注意を尽くしていた場合は事業主は免責されることになります。ただし、ほとんどの場合事業主が免責されることはありません。

3-2.セクハラ訴訟の流れ

セクハラ訴訟の手続の流れは概ね以下のようになります。

(1)訴状を裁判所に提出する(民訴法第133条1項)

(2)争点整理手続(民訴法第175条)

当事者の一方または双方が遠方に居住しているなど、裁判所が相当と認める場合に行います。

(3)第1回口頭弁論期日(民訴法第139条)

原告側が訴状に沿った主張の陳述を行い、これに対して被告側が答弁書に沿った反論の陳述を行います。

(4)証拠調べ・証人尋問(民訴法第179条~第188条・第190条)

セクハラ訴訟の場合は先に原告である被害者側が加害行為や損害の立証(証拠提出・証人尋問など)を行います。

(5)和解交渉(民訴法第89条)

訴訟提起前に加害者側が和解を申し入れていた(和解交渉が成立しなかった)場合でも、訴訟手続の中で裁判官が和解交渉を勧めることが多くあります。訴訟上で和解が成立した場合は和解調書が作成され、確定判決と同一の効力が生じます(民訴法第267条)。

(6)判決(民訴法第243条)

民訴法第253条1項で定められた事項(主文・事実・理由・口頭弁論終結日・当事者名・裁判所名)を記載した判決書の内容を口頭で言い渡します(民訴法第246条)。

3-3.和解交渉について

加害者側が弁護士を立てている場合、訴訟提起の前または提起後に和解(示談)を申し入れてくる可能性が高いです。また、前項で述べたように訴訟手続開始後も裁判官が当事者間に和解交渉を促すことが多くあります(民事訴訟法第89条)。和解交渉を申し入れてくる場合は加害者側が賠償責任を認めたことになるので、あとは慰謝料や損害賠償の金額で折り合いをつけることになります。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

4.セクハラ訴訟での賠償請求

セクハラ訴訟では、まず①セクハラによって受けた精神的苦痛に対する金銭的賠償である慰謝料請求(民法第710条)を行います。また②セクハラによってうつ病や適応障害を発症して通院を余儀なくされたり、会社を退職せざるを得なくなった場合には、治療費、治療にかかった交通費、休業損害等を請求することも可能です。

4-1.慰謝料の請求について

セクハラ訴訟のほとんどのケースで、セクハラ行為によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料請求(民法第710条)を請求します。なお、加害者本人に加えて加害者の雇用主である事業者に対しても使用者責任として慰謝料請求することが可能です。

裁判における慰謝料の算定は、個別の事情に応じて行われます。一般的に以下のような事情が総合的に考慮されます。

①セクハラ行為が行われた頻度・期間の長短

②行為の悪質性

一般的に、性的言動→身体的接触→性的関係の強要(刑法の強制わいせつ罪に該当する行為を含む)→刑法の強制性交罪に該当する行為の順に悪質性が高くなります。

認められる慰謝料額は数十万円~100万円程度であることが多いですが、数か月にわたって種々のセクハラ行為を繰り返し、「仕事できなくさせてやる」などの脅迫的な言動とともに性交渉を強要して行っていた事実があるような場合は300万円以上の慰謝料が認められる可能性があります。

4-2.その他賠償額の算定方法

①セクハラ被害を原因として負担することになった治療費や交通費については、その実費を請求することができます。また、セクハラ被害を原因として、休業や退職を余儀なくされた場合には、セクハラ被害に会う直前の給与の額等を参考にして、収入日額を計算し、収入日額×休業を余儀なくされた期間の給与を請求することが考えられます。

なお、被害者側が既に受けた給付がある場合には、これを損害賠償請求の額から差引かなければなりません(損益相殺)。差引かれる給付の例としてセクハラが原因でうつ病等の精神疾患を発症して労災認定された場合の療養給付(治療費)や休業補償給付などがあります。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

5.セクハラ訴訟での弁護士の役割

本章では、セクハラ訴訟で弁護士を依頼する必要があるか、弁護士がセクハラ訴訟においてどのような役割や責任を持つか、そしてセクハラ訴訟の訴訟関連手続を弁護士に依頼した場合の費用や支払方法などについて解説します。

5-1.弁護士の必要性

セクハラの被害者にとって、もとより交渉や訴訟手続に参加すること自体が身体的に負担となるうえ、交渉の場で加害者と対面することや、和解交渉の場や法廷でプライバシーにかかわる内容の話を話さなければならないことは非常に苦痛となります。また、特に加害者側が弁護士を立てている場合は和解交渉で低額の慰謝料を提示されて承諾させられてしまうおそれもあります。この点、弁護士に相談することで加害者との交渉や訴訟手続をすべて代理で行ってもらうことができるので、被害者が加害者と対面せずに主張を伝え、対等な立場での交渉や効果的な立証活動を行うことができます。

5-2.弁護士の役割と責任

セクハラ訴訟における弁護士の役割と責任は「セクハラ行為を止めさせること」「適切な額の慰謝料を請求すること」であるといえます。また会社がそれまで真摯に応対してくれなかった場合も、弁護士が入ることで要求に応じてくれる可能性が高くなります。

5-3.弁護士費用について

弁護士に依頼する上で気になるのが費用のことだと思います。セクハラ訴訟の場合、弁護士費用の相場は着手金10~30万円、成功報酬として最終的に得られた利益の20%~30%前後がひとつの相場であるといえるでしょう。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

6.セクハラ訴訟における注意点

セクハラ訴訟は多くの場合、加害者に対する不法行為責任を追及するものであるため、被害者側が立証責任を負うことや消滅時効期間が短いことなど、被害者側が注意すべき点があります。また、会社側が責任を問われた場合には均等法に基づくセクハラ防止策を十分に講じていることを立証する必要があります。本章では、セクハラ訴訟を提起する上で特に注意する必要がある事項について解説します。

6-1.証拠の保全について

セクハラ訴訟を提起するために収集した証拠について、それらの全てが被害者側の手元で保存されていれば問題ありません。しかし証拠の一部または全部が加害者ないし加害者側の事業主のもとにあり訴訟での証拠調べ手続きを待っている間に処分されたり改ざんされてしまうおそれがある場合は裁判所に申立てて証拠保全の手続きを行うことを検討しましょう(民事訴訟法第234条~)。

6-2.時効について

セクハラ訴訟で加害者本人を被告とする場合、請求については不法行為責任の消滅時効規定(民法第724条)が適用されます。不法行為の消滅時効は損害及び加害者を知った時から3年、生命・身体を害する行為の場合は5年、不法行為の時点から20年となっています。通常セクハラの被害者は被害を受けた時点で「損害及び加害者を知っている」ため、被害者がセクハラ行為が原因で死亡したり傷害を負った場合を除いて最後に被害を受けた時点から3年で消滅時効にかかる可能性があります。

被害者は「セクハラを受けたことを公表したくない」という心理状態になりやすいので被害を受けた直後に訴訟提起することが困難であることはやむを得ないのですが、加害者を訴える上では消滅時効に注意する必要があります。

なお、加害者の所属する事業者に対して安全配慮義務違反に基づく債務不履行責任(民法第415条)を追及する場合の消滅時効は権利行使ができることを知った時から5年・権利行使できる時から10年とされています(民法第166条1項・2項)。

6-3.社内規程に基づく対応の重要性

(1)セクハラ訴訟により会社が負うリスク

従業員・元従業員がセクハラ訴訟を起こすことは、会社側からみれば社会的な評価に悪影響を及ぼすことになります。また、会社の使用者責任や安全配慮義務違反が認められれば損害賠償や慰謝料の金銭的な負担を負うことにもなります。このような事態が起こることを未然に防ぐため、事業主としてはまず社内規程でセクハラ防止措置を詳細に定めておくことが重要です。

(2)セクハラ防止規程を設ける

たとえば、就業規則でセクハラ対処等を読み込める規定がある場合は、パンフレット・社内報・社内HPなどで周知する必要があります。そのような規定が存在しない場合は、委任規定を設けた上でセクハラ防止規定を設けることになります。その際にセクハラの定義・禁止行為・懲戒処分・相談や苦情への対応を明記してください。

(3)社内規程をふまえて対応マニュアルを作成して担当者に研修を行う

セクハラの被害者が最も不安に思うことは、通報することによるプライバシー侵害や意に反する異動などの不利益な処遇を受けることです。社内規程でプライバシー保護と「相談」「事実関係確認への協力」いずれに対しても不利益な取扱いを行わないことを明記した上で、関係者がそれを遵守する必要があります。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、セクハラの定義・種類及び、セクハラ防止に向けた事業者の法的義務やセクハラの加害者と加害者を雇用する事業者が負う法的責任について解説いたしました。

私たち法律事務所リーガルスマートは、ハラスメントをはじめとした労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

この記事をSNSでシェア!

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

相談無料初回60分

担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
ホーム お役立ちコラム 労働問題 ハラスメント セクハラに遭った際の対処方法と訴える流れを弁護士が解説!

電話受付時間 10:00〜17:30 (土日祝・年末年始を除く)