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年間休日の平均とは?休日が少ない場合の対処法を弁護士が解説

年間休日の平均とは?休日が少ない場合の対処法を弁護士が解説
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会社に勤務されている方にとって貴重な休日。カレンダーどおりの会社もあれば、祝日も出勤しなければならない会社もあります。

休日数は会社によってまちまちですが、ご自身の会社の休日が年間どれくらいあるのかご存じでしょうか。

この記事では、年間休日の定義や、休日と休暇の違い、年間休日の計算式などを説明した上で、休日が少ない場合の対処法を弁護士が解説します。年間休日に関するトラブルを抱えている方はぜひ最後までご覧ください。

1.年間休日の定義

「年間休日」とは、法定休日と法定外休日を全て含めた1年間の合計休日数のことです。

「法定休日」とは、労働基準法で定められた休日のことで、週に1回以上又は4週に4回以上与えなければならないと定められています。

「法定外休日」とは、所定休日ともいい、法定休日以外の休日のことをいいます。例えば週休二日制を採用している会社では、例えば土日を休日としていることが多いと思います。この場合、土日のうちの一方が法定休日、他方が法定外休日となるわけです。

このように、法定休日と法定外休日を含めた1年間の合計休日数を年間休日といいますが、法定外休日は法律で何日と定められているわけではないため、年間休日数は会社によって異なります。

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2.休日と休暇の違い

「休日」とは、労働者が労働義務を負わない日のことをいいます。一方、「休暇」とは、本来労働者は労働義務を負う日であるものの、労働者の申請によって労働が免除された日のことをいいます。

「年間休日」といった場合、「休暇」の日数は含まれません。例えば、年間休日が120日の場合、年次有給休暇などはこれに含まれませんので、実質的には120日以上労働しなくてよい日があるということです。

2-1.休日の種類

先ほども説明したとおり、休日には大きく分けて「法定休日」と「法定外休日」があります。そのほか、「振替休日」や「代休」といった休日の種類があります。

休日の種類によって、時間外労働に該当するかや、割増賃金が発生するかが異なってきますので、詳しくは残業代に関する記事をご参照ください。

以下では、休日の種類を簡単に説明します。

(1)法定休日

法定休日は、労働基準法で定められた休日のことです。週に1回以上又は4週を通じて4回以上与えなければなりません。1年を52週とすると、最低でも52日は法定休日があることになります。

法定休日が52日以下の場合、違法である可能性が高くなりますので、外部の機関や専門家に相談を検討してみるべきでしょう。

(2)法定外休日

法定外休日は、法定休日以外の休日のことで、会社が就業規則などによって独自に定めている休日です。例えば、年間休日が120日で法定休日が52日だった場合、法定外休日は120-52=68日と計算されます。

労働基準法では、週に1回以上又は4週を通じて4回以上の休日を与えなければなりませんが、同時に、週に40時間以上労働させてはならないことになっています。そうすると、週に1回のみの法定休日では違法となる可能性が高いため、法定外休日を設定する必要があります。

(3)振替休日

振替休日とは、休日出勤をさせる場合に、その振替としてあらかじめ設定される休日のことをいいます。後述の代休との違いは、「あらかじめ」設定されるか否かです。

例えば、法定休日が土曜日である場合に、あらかじめ金曜日を振替休日としておけば、土曜日に休日出勤をさせたとしても法定休日に休日出勤をしたと扱われないことになります。

(4)代休

代休とは、休日出勤をさせた場合に、休日出勤後に別の日を休日として設定したときの休日をいいます。

代休と振替休日は、ともに休日出勤の代替となる休日という意味では共通しますが、振替休日があらかじめ設定される休日であるのに対し、代休は休日出勤が発生した後に設定される休日であるという点で異なります。

2-2.休暇の種類

休日と同様、休暇にも「法定休暇」と「法定外休暇」があります。以下では、法定休暇と法定外休暇の違いを説明します。

(1)法定休暇

「法定休暇」は、労働基準法その他の法令によって付与される休暇のことをいいます。会社は、労働者から請求があった場合には必ず法定休暇を与えなければなりません。

法定休暇の例としては、例えば「年次有給休暇」、「妊娠休暇」、「育児休暇」、「生理休暇」などがあります。

「休暇」には、有給と無給が存在します。「年次有給休暇」は文字通り有給であるため、賃金の保障を受けながら休暇を取ることができます。一方、生理休暇などは法律上有給か無給かは定められていません。よって、会社によって有給か無給かは異なります。

(2)法定外休暇

「法定外休暇」は、特別休暇とも呼ばれ、法令により付与される休暇ではなく、会社が就業規則などによって独自に定めている休暇をいいます。

法律上の義務ではないため、与えるかどうかは会社の判断に任されます。

法定外休暇の例としては、例えば、「夏季休暇」、「年末年始休暇」、「リフレッシュ休暇」、「慶弔休暇」などがあります。

「夏季休暇」とした場合、「休日」とは異なりあくまで「休暇」であるため、年間休日にはカウントされません。例えば、8月中に5日の夏季休暇を与えるとしている会社などがありますが、この5日は年間休日にはカウントされないということです。

一方「夏季休日」の場合、年間休日にカウントされます。例えば、8月13日から15日の3日間を会社休日としている場合、その3日は年間休日にカウントされます。

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3.年間休日の平均は

先ほど説明したとおり、年間休日数は会社によって異なります。厚生労働省による「令和4年就労条件総合調査」によれば、労働者1人平均年間休日総数は「115.3日」となっています。1年を52週とし、祝日が年間16日とすると、週休二日制の会社では120日前後が休日数となるでしょう。現状ではそれよりも少し少ない日数が平均となっています。

なお、この数字は「休日」の平均ですので、年次有給休暇などの「休暇」の日数は含まれません。「休暇」を含めて年間休日としている会社は年間休日の最低日数を下回っている可能性があるため、注意が必要です。

4.年間休日の最低日数

労働基準法では、週に1回以上又は4週に4回以上与えなければならないと定められています。また、同法では原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはいけないと定められています。

1日8時間労働させた場合、週に5日まで労働させることができます。そうすると、労働させることができる日数は52週×5日=260日前後になりますので、365日 – 260日 = 105日前後が年間休日の最低日数ということになるでしょう。

1日8時間勤務であるにもかかわらず年間休日が105日を下回っている会社は違法の疑いがありますので、専門家に相談することをおすすめします。

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5.年間休日の125日・120日・110日・105日の計算式

年間休日は会社によってさまざまですが、よく聞く数字として「125日・120日・110日・105日」という4種類の数字があります。これらはどのように計算されているのでしょうか。以下では、それぞれの計算の根拠を説明します。

(1)105日

先ほど説明したとおり、労働基準法では、1日8時間、週40時間を超えて労働させてはいけないことになっています1日8時間労働させた場合、週5日、年間で260日前後労働させることができることになっています。つまり、105日前後が年間休日の最低日数です。

年間休日が105日の会社は、年間休日の最低日数の計算式で算出したということになります。この場合、週あたり2日が休日となりますが、祝日は休日ではなく出勤する必要があります。

(2)110日

年間休日を110日としている会社は、年間休日の最低日数105日に5日程度の法定外休日を設けています。例えばお盆休みや年末年始を法定外休日としている会社が多いでしょう。

(3)120日

年間休日を120日としている会社は、年間休日の最低日数105日に、年間祝日数16日を加えて120日(105日+16日=121日ですが)としている会社が多いでしょう。

(4)125日

年間休日を125日としている会社は、年間休日の最低日数105日+年間祝日数16日に加え、お盆休みや年末年始を法定外休日にしている会社が多いでしょう。

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6.年間休日の多い業種・少ない業種

厚生労働省による「平成31年就労条件総合調査」によれば、年間休日の多い業種ベスト3は以下のとおりです。

  1. 電気・ガス・熱供給・水道業 120.9日
  2. 情報通信業 119.8日
  3. 学術研究、専門・技術サービス業 119.6日

1位の電気・ガス・熱供給・水道業は、インフラ系の業種であり繁忙期がなく仕事量が安定しているため、カレンダー通りの休日が設定されている場合が多いというのが要因でしょう。

2位の情報通信業、3位の学術研究、専門・技術サービス業は、労働者の裁量で仕事量を調整しやすい傾向にあるため、カレンダー通りにしっかりと休める業種であるといえます。

一方、年間休日の少ない業種ワースト3は以下のとおりです。

  1. 宿泊業、飲食サービス業 102.9日
  2. 生活関連サービス業、娯楽業 105.6日
  3. 運輸業、郵便業 106.6日

ワースト1位の宿泊業、飲食サービス業は、土日祝日、5月の大型連休、お盆、年末年始などが繁忙期であり、多くの人が休みを取る時期が労働日となる傾向があります。よって、まとまった休みを取ることができないため年間休日が少なくなりがちです。

また、2位の生活関連サービス業や娯楽業も同様で、多くの人が休みを取る時期に出勤しなければならないことが要因であると考えられます。

3位の運輸業、郵便業は、土日や祝日関係なく出勤しなければならない業種であり、休みが不定期になりやすいことが原因の一つと考えられます。

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7.年間休日が極端に少ない会社は違法なのか

労働基準法によれば、1日8時間勤務の場合、年間休日の最低日数は105日と計算されます。つまり、1日8時間勤務の場合は年間休日が105日を下回ると違法となる可能性があります。

ただし、105日を下回ったからといって必ず違法となるわけではありません。

以下では、違法にならないケースを解説します。

7-1. 労働時間が1日8時間を下回る場合

1日8時間勤務の場合、週5日勤務すると週40時間です。そうすると、会社は週のうち残り2日を休日として設定しなければ労働基準法に違反してしまいます。

しかし、例えば1日6時間勤務の場合は週6日働いても36時間となり、週40時間までという労働基準法の定めに抵触しないことになります。週に1回以上休日を与えなければなりませんので、休日を週1回とすれば、年間休日が52日であっても違法とはならないことになります。

7-2. 36協定を締結している場合

36協定とは、労働基準法36条に基づいて、法定労働時間を超えて労働者を労働させる場合に必要となる労使協定です。

36協定では、月45時間、年360時間を時間外労働の上限と定めています。36協定の上限時間の範囲内であれば、年間休日が少なくなっても違法ではありません。

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8.年間休日の少ない会社の対処方法

先ほど説明したとおり、1日8時間勤務の場合、年間休日の最低日数は105日です。これを下回っている場合、労働基準法に違反している可能性があります。以下では、年間休日が少ない場合の対処法を解説します。

8-1. 労働組合に相談する

労働組合とは、労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体のことをいいます。

労働組合は団体交渉権を持っていますので、労働組合を通じて年間休日の改善交渉をしてもらうことが可能です。個人で会社と交渉をするよりも、労働組合を通じて交渉をしてもらったほうが会社が応じてくれる可能性があります。

もっとも、年間休日が少ないことが常態化しているような会社の場合、労働組合が機能していない場合や、労働組合の交渉に応じない会社である可能性もあります。そういった場合、労働組合に相談しても年間休日が改善する可能性は高くないかもしれません。

8-2. 労働基準監督署に報告する

労働基準監督署は、各企業が、労働基準法をはじめとする労働法令を遵守しているかを監督する機関です。

年間休日が少ない場合、週に1回又は4週に4回の休日を与えなければならないと定めている労働基準法に違反する可能性があるため、労働基準監督署へ相談することが可能です。

労働基準監督署は、会社の年間休日が少ない場合など、労働法上問題があると判断した場合、会社に指導勧告ができます。指導勧告を受けた場合、会社は速やかに改める場合が多いため、年間休日の改善に効果があるといえるでしょう。

もっとも、年間休日が少ないことが必ずしも労働基準法に違反するとはいえない場合、労働基準監督署では応じてもらえない可能性があります。

また、労働基準監督署は会社との交渉の仲介を行ってくれるわけではありません。よって、会社との交渉や法的措置を検討しているのであれば、弁護士に相談するのがよいでしょう。

8-3.弁護士に相談する

労働基準監督署や労働組合は、個人と会社との法的なトラブルを代理してくれるわけではありません。会社との交渉を代理してもらいたい場合や、法的措置を検討している場合などは、弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士はあらゆる法的トラブルについて依頼者を代理する権限を持っています。労働問題に強い弁護士であれば、心強い味方となってくれるでしょう。

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9.年間休日に関するトラブルを弁護士に相談するメリット

上記のとおり、年間休日に関するトラブルについては、弁護士に相談することができます。ここでは、弁護士に相談するメリットについて具体的に解説します。

9-1.労働問題に関するあらゆる法的トラブルを代理できる

年間休日が少ない、会社が休暇を取らせてくれないなど、休日や休暇に関する労働問題について弁護士に依頼した場合、弁護士があらゆる法的トラブルについて代理人となって会社との交渉を行ってくれます。

ご自身が会社と直接交渉を行うというのは心理的負担が大きいものです。未だ会社にお勤めの場合は尚更です。慣れない労働問題のトラブルについては弁護士に全て任せることができるため、ご自身は自分の仕事など他のことに集中することができます。

また、会社からの通知や電話などは弁護士の事務所に行くことになりますので、ご本人に会社から電話が来たり、ご自宅に会社からの通知が来たりすることはなくなります。

9-2.年間休日のアドバイスがもらえる

労働問題に強い弁護士は、年間休日の計算方法や違法になるラインを熟知しています。また、年間休日について過去に争われた裁判例や審判例についても熟知しており、過去の事例から年間休日の主張が認められそうかどうかを的確にアドバイスしてくれます。

会社が年間休日に対して法的に誤った解釈を主張してきたとしても、弁護士に依頼すれば言いくるめられることなく反論可能です。

弁護士に相談することで法的なアドバイスをもらうことが可能ですので、ご自身が年間休日について知識が乏しかったとしても全く問題はありません。

9-3.未払い残業代請求ができる

年間休日が少なく、労働基準法に違反している場合、会社では出勤日とされていたとしても法律上は休日出勤や時間外労働となっている場合があります。

弁護士に相談すれば、年間休日を計算式により正確に計算し、年間休日の最低日数を下回っている場合には未払い残業代の計算をすることが可能かもしれません。

ご自身では気づきにくい未払い残業代についても適切なアドバイスをし、場合によっては労働審判や訴訟で請求をしてくれるのが弁護士なのです。

9-4.法的措置までトータルサポートが可能

労働基準監督署や労働組合は、本人に代わって訴訟や労働審判などを代理してくれるわけではありません。法的措置を検討しているのであれば弁護士に相談するのがベストな選択です。

労働問題に強い弁護士であれば、年間休日に関する会社との争いに慣れていますので、訴訟になった場合でも的確な主張が可能です。もちろん、ご本人は訴訟に出頭する必要はなく、代理人である弁護士が全て対応してくれます。

10.まとめ

今回の記事では、年間休日の定義や最低日数について説明した上で、年間休日が少ない場合の対処法について解説しました。

ご自身が務めている会社の年間休日が少ないと感じた場合、労働基準監督署、労働組合、弁護士に相談することができます。これら3つの方法についてはそれぞれ一長一短がありますので、ご自身の状況によって相談先は異なってきます。

年間休日に関して会社とトラブルになっているなど、今後紛争に発展する可能性がある場合、弁護士に相談してみるとよいでしょう。弁護士に相談すれば、年間休日に関して会社と交渉をしてくれたり、法的措置の検討など、幅広く対応してくれます。

年間休日をめぐって既に会社とトラブルになっている方はもちろん、未だトラブルに発展していない場合であっても、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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