残業代請求
飲食店の店長は残業代を請求できないって本当?

1.この記事の対象の方
・飲食店の店長の方
・飲食店以外のチェーン店店長の方
・「店長だから残業代は発生しない」と言われている方
2.本記事の要約
・会社が飲食チェーン店の店長に対して残業代として約280万円、付加金として約230万円を支払いを命じる判決がでました。
・会社は、店長が労働基準法の「管理監督者」に該当するため残業代の支払い義務はないと主張したが店長は「経営者と一体的な立場にはない」として裁判所は店長を管理監督者とは認めませんでした。
・残業代が支払われない旨の雇用契約になっていたり、一定の手当しか支払われていない店長であっても残業代が認められることが多いです。
3.詳細
※本記事は、岐阜地方裁判所平成27年10月22日判決を参考にしています。
⑴争点について
もちろん、店長であっても雇用契約である以上、残業代が発生するのが原則です。
もっとも、労働基準法上の「管理監督者」に該当すれば、残業代が発生しなくなります。
そこで今回は、本件における店長は当該店舗の従業員の採用や指導、解雇などをおこなう権限があるなど広範な裁量があることから、本件の店長が「管理監督者」該当するか否かが争点になりました。
⑵争点についての結論
本件では、店長は管理監督者に該当しない、と判示されました。
その理由は、本件店長は「経営者と一体的な立場にはない」ということでした。
そう判断された理由を少し列挙すると、
- 従業員の募集を本社を通して行っていたこと
- 従業員の昇給は本部の承認が必要であったこと
- 什器備品の購入は3000円を超える場合は本部の決裁が必要であったこと
- 店舗のメニューについて本部の決裁が必要であったこと
- 従業員のシフトについてはマネージャーに提出する必要があったこと
- 会社の経営方針の決定について関与していなかった
⑶最終結論
以上のとおり、本件店長は管理監督者にあたらないため、原則通り残業代が認められました。
そして、その金額は約280万円でした。
それに加えて、残業代とは別に付加金として約230万の請求も認められる結果となりました。
4.諦めないでください!
まだまだ多くの飲食店、チェーン店の店長は会社から「管理監督者」として、残業代は不支給になっているか、少ない手当しか支払われていないのが現状です。
「会社の規程でそうなっているから、自分には残業代は発生しないんだ..」と諦めないで、是非一度弁護士にご相談ください!
投稿者プロフィール
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- 弁護士法人PRESIDENT弁護士
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■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務
■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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