残業代請求

取締役は残業代を請求できないって本当?

取締役は残業代を請求できないって本当?
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1.本記事の対象者

・ 取締役で残業代が支払われていない方

・ 管理監督者だからと言われ、残業代が支払われていない方

2.本記事の要約

① 取締役で、取締役会に出席し、クリエイティブサービス部門のトップの地位にある場合であっても、残業代が認められた(管理監督者性が否定された)。

② 判決で認められた残業代の金額は約109万円であった。

③ 残業代(深夜残業を除く)を支払う必要がない労働基準法の「管理監督者」は、雇用契約や就業規則にそのような規定があったとしても該当しない場合が多い。

3.詳細

※本記事が参考にした裁判例:東京地判平23.10.25

⑴ 判決の概要

会社は労働者に対して残業代として約109万円を支払わなければならない。

として、当該労働者の主張を認めました。

⑵ 判決の理由

労働者が労働基準法の「管理監督者」に該当すれば残業代を支払う必要は無くなるため、当該労働者が「管理監督者」に該当するかどうかが争われました。

判決では、取締役である労働者が、「労務管理について経営者と一体的な立場にあるとか,労働時間,休日等の規制を超えて活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務権限を付与されていたとまで認めることはできない」として、会社には残業代支払い義務があると判断しました。

本件は「従業員が取締役に選任されたからといって,会社の規模,業態等によっては,直ちに管理監督者となるわけではなく,従業員兼務取締役についても・・・重要な経営上の職務権限を付与されているかなどを実質的に判断した上で,管理監督者に当たるか否かを判断すべきである」とも説明しています。

⑶ 事案の概要

・取締役でもあった当該労働者は、以下のような職務内容でした。

  • 月給40万円から47万円(途中で増額)
  • 役職は取締役兼クリエイティブサービス部門のトップ(会社でナンバースリー)の地位
  • 取締役会に出席
  • タイムカードの打刻が少ない。

4.諦めないでください!

雇用契約や就業規則で「残業代が発生しない」旨を定められていたとしても、役職や給与額、職務権限などによっては残業代を請求できることが多いです。  「自分は取締役だから・・」と、諦める必要はありません。

残業代について少しでもお悩みでしたら、是非1度弁護士に相談してください。

5.一歩進んで

労働基準法の管理監督者に該当すれば残業代の支払い義務はなくなります。

では、どのような場合に管理監督者に該当するのでしょうか。

雇用契約や就業規則などに、単に管理監督者についての規定があるだけでは足りず、以下の3つの要件が必要だと言われています。

  • ⑴ 当該労働者が実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職務と責任、権限を付与されているか。
  • ⑵ 自己の裁量で労働時間を管理することが許容されているか。
  • ⑶ 地位や職責にふさわしい待遇かどうか。

本件では、以下のような事情が指摘され、いずれの要件も満たしていないとされました。

  • ⑴ 当該労働者が、専ら現業業務に従事し、そちらの業務で忙殺されていたこと、部下が数名しかおらず、従業員の労務管理・人事考課について格別の権限を有していたわけではなかったこと、また、役員会では、部門の業務進を報告する程度であった。
  • ⑵ タイムカードには出退勤時刻の打刻が非常に少ないことは否めないものの、自らが取締役という地位にあり、時間外手当等の支給が受けられないという素朴な認識を抱いていたからこそ、タイムカードの打刻をしなかったにすぎないとも考えられるのであって、タイムカードの内容から、直ちに当該労働者が自由な時間帯に出退勤していたことが裏付けられるものではない。
  • ⑶ 月額40万円という給与額それ自体は,労働時間等の規制を超えて活動することを要請されてもやむを得ないといえるほどに優遇されているとまではいえないことや、給与の増額のタイミングとしても役員就任に伴うものではない。

投稿者プロフィール

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎弁護士法人PRESIDENT弁護士
法律専門家として優れていること、そして、優しく誠実に依頼者に寄り添う弁護士であることを理想とする。
大手法律事務所で、事業部の責任者を務めた後独立し、自身の思いを名前に冠した「優誠法律事務所」を設立。
その後、「テクノロジーと人の力で、権利が自然と実現される未来を創る」という弁護士法人PRESIDENTの理念に共感し、入社。
現在は、労働問題及びネットトラブルの事業責任者として、これらの問題を取り扱う。

■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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