残業代請求

残業代を計算するための「時給」に諸手当は含まれる?

残業代を計算するための「時給」に諸手当は含まれる?
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1.本記事の対象者

・基本給が少ない方

・基本給以外の諸手当の割合が多い方

・会社から、残業代は基本給のみが基礎になるなどと説明を受けている方

2.本記事の要約

基本給以外に諸手当を受給している場合、当該諸手当も残業代を計算するための時間単価(時給)の基礎となる賃金に含めて請求することができる可能性があります。

基本給が低額である場合、残業代も低額な基本給を基礎に計算されている可能性があります。

しかし、基本給以外に諸手当を受給しているのであれば、その諸手当も基礎として残業代を請求することができる場合があります。

3.詳細

⑴ 争点について

残業代の計算式は以下のとおりです。

残業代=時間単価×労働時間数×割増率

そこで、この時間単価に、基本給以外の諸手当を含めるのかが争点となります。

⑵ 争点についての結論

就業規則によって基本給以外の手当が残業代の基礎とならない旨の記載がある場合でも、当該諸手当も残業代を計算するための時間単価(時給)の基礎となる賃金に含めて請求することができる可能性があります。

特に、法律上定められている一部の手当(以下「除外手当」といいます)以外の手当は、これを残業代の基礎に含めなければなりません。

ある手当が除外手当に当たるかどうかは、名目によって定まるものではなく、実体としてどのような性質の手当であるのかによって判断されます。

⑶ 最終結論

以上のとおり、就業規則によって基本給以外の手当が残業代の基礎とならない旨の記載がある場合でも、当該諸手当を残業代を計算するための時間単価(時給)の基礎となる賃金に含めて請求することができる可能性があります。

4.諦めないでください!

会社は、残業代の支払いを抑えるために、基本給を低額にして、就業規則等で、諸手当を残業代の基礎となる賃金として除外することを定めていることがあります。

しかしながら、除外手当以外の手当を、残業代の基礎となる賃金として除外することは許されませんし、除外手当に当たるかどうかは実質的に判断されます。

そのため、このような場合でも、残業代を請求できる余地は十分にあると考えられます。

会社が残業代に諸手当は含まれないと主張する場合でも、直ちにあきらめる必要はありません。まずは弁護士に相談してみましょう。

5.一歩進んで(解説)

●除外賃金(除外手当)

残業代の計算おける時間単価計算の基礎となる賃金には、除外手当(「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1か月を超える期間で支払われる賃金」)は算入されません。

これは、労働基準法37条5項及び労働基準法規則21条に定められています。

しかしながら、この定めによる除外は、いわゆる「限定列挙」と解釈されており、除外手当以外の手当・賃金は、残業代の計算おける時間単価計算の基礎としなければなりません。

また、実際に支払われる手当が、除外手当に当たるかどうかは、名称のいかんを問わず実質的に判断されます(昭和22年9月13日基発17号(都道府県労働基準局長あて労働次官通達))。

そして、奈良地判昭和56年6月26日(壺阪観光事件)では、仮に名目が、上記の除外手当であったとしても、扶養家族の有無・数、通勤や住宅に関する額などの事情にかかわらず一律に支給される場合には、除外手当に当たらないと判断しました。

反対に、「生活手当」や「物価手当」等の除外手当以外の名称が付されている場合であっても、扶養家族の有無・数によって算定される手当であれば、除外手当の「家族手当」にあたり、残業代の基礎としなくてよいとされています(昭和22年11月5基発231号)。

投稿者プロフィール

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎弁護士法人PRESIDENT弁護士
法律専門家として優れていること、そして、優しく誠実に依頼者に寄り添う弁護士であることを理想とする。
大手法律事務所で、事業部の責任者を務めた後独立し、自身の思いを名前に冠した「優誠法律事務所」を設立。
その後、「テクノロジーと人の力で、権利が自然と実現される未来を創る」という弁護士法人PRESIDENTの理念に共感し、入社。
現在は、労働問題及びネットトラブルの事業責任者として、これらの問題を取り扱う。

■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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