給与未払い
退職金を減額されたらどうすればいい?対応方法を弁護士が解説!

目次
1.この記事の要約
退職金を減額された場合、減額された不支給部分を請求することができる場合があります。
退職金を減額することができるのは、就業規則等に退職金を減額することができる場合があり、かつ、過去の勤務態度等も考慮したうえで、減額・不支給に相当するような非違・背信行為を行ったと言える場合に限られています。
しかしながら、このような要件の検討を十分に行わないまま、退職金を減額する会社が少なくありません。
2.この記事の対象の方
- 在職中の行為を理由に、退職金を減額された方
- 特に理由を開示することなく退職金を減額された方
- 弁護士事務所に依頼した場合の費用面が気になる方
3.詳細
⑴ 争点について
今回の争点は、労働者の退職金を会社が一方的に減額することは許されるのかという点です。
⑵ 争点についての結論
結論として、会社は、自由に、そして一方的に退職金を減額することは許されません。
退職金を減額するためには、就業規則等に退職金を減額することができる場合があることが定められていること、そして、過去の勤務態度等も考慮したうえで、減額・不支給に相当するような非違・背信行為を行ったと言える必要があります。
⑶ 最終結論
以上のとおり、会社は自由に、そして一方的に退職金を減額することはできません。
そのため、退職金が減額されたとしても、その減額の適法性を争う余地があり、労働者は、差額を請求することができる可能性があります。
4.諦めないでください!
就業規則に退職金は会社の判断で減額できるとする規定があることは多いです。
しかし、退職金には賃金の後払いとしての性質があるため、形式的に就業規則の減額事由に該当する場合であっても、減額の適法性を争う余地が十分にあります。
支払われた退職金に対して疑問がある方は、一度弁護士へ相談してみることをお勧めします。
5.一歩進んで(解説)
(1)退職金の法的性質
退職金は会社から労働者に対する賃金の後払い的性格、在職中の功労に対する報償的性格、退職後の生活保障的性格を有するとされています。
賃金と大きな違いは、会社へ請求するためには就業規則等によって明示されることで、労働契約の内容となっていることが必要な点です。
したがって、退職金を減額できるか否かという点も、労働契約の内容となっているかという点が大事な要素となります。
(2)就業規則に退職金を減額できる旨が記載されていない場合
就業規則に退職金の定めがある一方で、会社が減額できる規定がない場合、退職金の減額が労働契約の内容となっていないため、原則として会社が一方的に退職金を減額することはできません。
(3)就業規則に退職金を減額できる旨が記載されている場合
就業規則に退職金の定めがあり、会社が減額できる規定のある場合、会社は労働者の退職金を減額することが可能となります。
しかし、すでにお伝えした通り退職金には賃金の後払い的性格が認められているため、形式的にこれらの減額事由に該当したとしても、過去の勤務態度等も考慮したうえで、減額・不支給に相当するような非違・背信行為を行ったと言えない限り、これを減額することは許されません。
投稿者プロフィール
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- 弁護士法人PRESIDENT弁護士
-
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務
■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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