不当解雇

労働基準監督署(労基署)とは?職務内容や弁護士との違いを解説

労働基準監督署(労基署)とは?職務内容や弁護士との違いを解説
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1.はじめに

不当解雇に限らず、労働問題を抱えたとき、すぐに労働基準監督署(以下、「労基署」と呼びます)を想像する人は多いのではないでしょうか。

しかし、実際に労基署へ相談行ったとしても、労基署では対応できない内容であったり、希望していた対応をしてもらえなかったりする可能性があります。

そこで今回は、不当解雇をはじめとした労働問題に対して労基署が何をしてくれるのか、弁護士に相談するのと何が違うのかという点を解説します。

2.労働基準監督署とは?

労基署は、労働基準法97条以下に基づいて設置される厚生労働省の出先機関で、日本全国各所(321か所)に置かれています。

主に、事業場に対する監督指導、申告受理、相談業務、業務災害・通勤災害による労足保険給付の調査決定などの業務を行っています。

なお、よく労働局と労基署が同じものであると思われている方もいらっしゃいますが、別の機関です。

これらの違いは、労働局が労基署の上位機関であり、労基署が法令違反の是正をするのに対し、労働局は個別の紛争を解決する役割がある点に大きな違いがあります。

3.労基署は何をしてくれるのか?

⑴労基署の職務内容とは?

まず、労基署は労働基準法を守っているかどうかを監督する機関ですから、その他の法律(民法や刑法等)に関する相談・対応はしてくれません。

さらに、労基署は、既述のとおり労働法違反の是正を行う機関ですから、労働者を代理して不当解雇を争ったり、未払い残業代を請求したりといった対応はしてくれません。

なお、労基署が法令違反の是正を行った結果として、間接的に労働問題が解決するということはありうるかと思います。

⑵不当解雇に対して労基署が行ってくれることとは?

では、不当解雇に限った話をした場合、労基署は何をしてくれるのでしょうか。

結論から申し上げると、何もしてくれません。

まず、労働基準法16条は以下のように定めています。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

このように、問題となっている解雇が客観的に合理的な理由を欠いているか否か、社会通念上相当であるか否かは、会社と労働者の認識にずれが生じている(評価に争いがある)に過ぎないため、労働基準法違反ではないから、労基署は何もしてくれません。

仮に相談したとしても、問題となっている解雇が不当解雇に該当しそうか否かの見解を教えてくれることはあったとしても、それを是正するために動いてくれるということはありません。

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3.労基署と弁護士の違いとは?

⑴対応面

まず、労基署は既述のとおり、労働基準法違反以外に関しては基本的には何もしてくれません。

労働法に違反している可能性がある相談としては、賃金・残業代・解雇予告手当等の未払い、有給休暇の不付与等が考えられます。

一方で、不当解雇を争ったり、会社に対して損害賠償を請求したりといった相談については、法令違反とは異なる相談となりますから、労基署は対応してくれません。

一方で弁護士は、ご相談内容から法令違反の有無を検討し、違反がある場合には労働者を代理して会社に対して諸請求を行うことが可能です。

さらに、弁護士は法律の専門家ですから、弁護士から連絡があった会社は、これを無視すると訴訟を提起される可能性があるというリスクを負うこととなります。

このように、労基署は法令違反に特化した機関である一方、弁護士は労働者の様々なニーズに応える解決策を模索することができるという特性があります。

⑵費用面

弁護士への相談は、弁護士事務所ごとに異なるかもしれませんが、相談料がかかるケースが多いです。

一方、労基署は無料で相談に乗ってくれるため、手軽に法令違反の有無を確認できるという特性があります。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は労基署の特性をご紹介し、弁護士に相談した場合と比較しました。

労基署は手軽に相談はできるが実効性や有効性に乏しく、弁護士は費用は掛かるが紛争の解決に向けた実効性という点では有効であるのではないかと思います。

最後になりますが、不当解雇に限らず、労働問題が発生した場合には、是非弁護士に相談されることをお勧めします。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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