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会社を訴えるリスクは?トラブルがあった際の対処法を解説!

会社を訴えるリスクは?トラブルがあった際の対処法を解説!
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「職場でセクハラを受けたので会社にどうにかしてほしい」

「上司のパワハラがひどくて困っている」

本記事をご覧の方の中には、このような悩みを持っている人がいるかもしれません。また、このような被害を受けたことに基づいて、会社に損害賠償を請求することを考えたことがある人がいるかもしれません。

では、セクハラやパワハラで会社を訴えた場合のリスクはあるのでしょうか。

本記事では、会社を訴えた場合のリスク、会社とトラブルがあった場合の対処法、弁護士に依頼する場合の注意点などについて解説します。会社とのトラブルを抱えているが、どうしようか悩んでいる方に有益な情報を提供しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.「会社を訴えるリスク」とは

まず以下では、セクハラやパワハラなどで会社を訴える場合の3つのリスクについて説明します。

1-1.会社との関係の悪化

会社を訴えるということは、会社が反対当事者となるということです。会社と争う関係となるため、会社に所属して仕事を継続することが事実上難しくなる可能性があります。

1-2.訴訟費用

会社を訴える場合、裁判所に訴状を提出する必要があります。裁判所に訴状を提出する際、収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙の金額は訴額に応じて決められています。

例えば、100万円の損害賠償請求を行いたい場合、手数料として収入印紙10,000円を貼付する必要があります。収入印紙の額について詳しくは裁判所の「手数料額早見表」をご参照ください。

このように、会社を訴えるためには、訴額に応じた費用がかかってきます。訴額が高額な場合、予想以上に費用がかかるというリスクがあります。

1-3.弁護士費用

弁護士に訴訟代理を依頼した場合、弁護士費用がかかります。弁護士費用は弁護士が自由に報酬額を決めることができます。一般的には事件に着手する際に着手金が発生し、事件が終了したときに報酬金が発生します。

着手金と報酬金は訴額によって定まることが多いので、弁護士費用は訴額が大きいほど高額になる傾向があります。訴訟代理の場合、着手金は少なくとも50万円以上は必要です。

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2.会社とのトラブルがあった場合の対処法

では、会社とのトラブルがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下では、会社とのトラブルがあった場合の対処法について解説します。

2-1.相談

例えば上司からの性的な言動をされて困っている場合、まずは上司の上司や人事に相談するのがよいでしょう。

本人と直接話し合ったとしても解決が難しい場合、本人の上司や人事を交えて話し合いをすることで、トラブルが収まる場合があります。

一方で、会社に相談しても取り合ってもらえない場合もあります。その場合、社外窓口に相談することを検討します。例えば社外窓口には以下の4つがあります。

  • 労働基準監督署
  • 雇用環境・均等部(室)
  • 労働局の総合労働相談コーナー
  • 弁護士

社内への相談で解決しない場合、社外への相談を検討しましょう。社外窓口に相談することで、会社に対する対応方法を検討することができます。さらに進んで会社に対する訴訟提起や労働審判を検討している場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士は法的な手続をすべて代理できますので、労働問題に関する包括的な法的サポートが可能です。

2-2.労働審判

相談をしても問題が解決しない場合、法的措置を検討します。労働問題に関する法的措置は主に労働審判と訴訟の2つがあります。

労働審判は平成18年4月から開始された制度で、労働者と会社との間で発生した労働に関するトラブルを迅速に解決するための手続です。セクハラのほか、未払い残業代や解雇などの労働トラブル全般を解決することを目的としています。

トラブル解決手段としては、訴訟が思い浮かぶと思います。しかし、訴訟は結果が出るまで1年以上かかることも珍しくありません。迅速に解決するためには、労働審判を活用することをおすすめします。なぜなら、労働審判は訴訟と異なり、原則として3回以内の期日で終了するとされているからです。労働審判は通常3か月程度で終了することが多く、裁判と比較して迅速な解決を目指すことができます。

2-3.訴訟

労働審判の結果に納得がいかない場合、審判に異議を申し立てることができます。異議が申し立てられると、審判は効力を失い、通常の訴訟手続へ移行します。よって、審判に異議を申し立てた場合は引き続き訴訟において争いが継続します。

一方、労働審判を経由せず、直接会社を訴えることも可能です。ただし、訴訟手続の場合先ほども説明したとおり、長い期間がかかることは覚悟しておきましょう。

なお、労働審判ではなく訴訟によるべき場合もあります。労働審判は労働者と会社との間で発生した労働に関するトラブルを解決するためのものですから、セクハラやパワハラをした加害者個人に対して労働審判を起こすことはできません。個人に対する損害賠償請求などは、訴訟を起こす必要があります。

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3.法的なリスク

会社への相談や会社との交渉によってもトラブルが解決しない場合、会社に対し訴訟を起こすことが考えられます。

先ほど、会社を訴える場合の一般的なリスクをお伝えしました。ここでは、会社を訴える場合の法的なリスクを説明します。

3-1.逆に訴えられるリスク

会社を訴えた場合、逆に会社からも訴えられるリスクがあります。もちろん、まじめに勤務をしていれば、通常、会社が労働者を訴えてくる理由はありません。しかし、後述のような会社とのトラブルが生じていたりすると、それを理由として会社が訴えてくる可能性もあります。

会社を訴えることを検討している場合は、会社に訴えられる潜在的なリスクがないかどうかを事前に確認する必要があるでしょう。

3-2.退職に追い込まれるリスク

未だ会社に在籍中に会社を訴えた場合、基本的なリスクで説明したとおり、会社に引き続き所属して仕事を継続することが事実上難しくなる可能性があります。会社から退職勧奨をされ、退職に追い込まれるケースもみられます。退職勧奨による退職は会社都合による退職ですが、雇用契約が終了となる法的リスクであることは間違いありません。よって、会社を退職するリスクがあることを踏まえた上で会社を訴えることを検討すべきです。

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4.会社とのトラブルの種類とリスク

会社とのトラブルを抱えている場合、会社から逆に訴えられるリスクをご説明しました。ここでは、よくある会社とのトラブル3つについて、具体的に説明します。

4-1.労働問題

労働問題の代表的な例としては、パワハラ、セクハラ、職場でのいじめなど、人間関係が問題で生じるものがあります。これらを受けている場合、先ほど説明したように、会社との相談や交渉が生じ、トラブルとなる可能性があります。

逆に、自分がパワハラ、セクハラなどを行っている加害者側として他の従業員とトラブルになっている場合、大抵は会社ともトラブルになります。時には配置換えや降格などが行われてしまうこともあるでしょう。

4-2.契約違反、就業規則違反

例えば、会社のパソコンを私的に利用している、副業禁止にもかかわらず副業をしているといった場合、就業規則に違反する可能性があります。

就業規則に違反している場合、最悪の場合懲戒解雇される可能性があります。懲戒解雇にならない場合であっても、会社とのトラブルは避けられないでしょう。就業規則違反を盾に、会社が訴えてくるといったリスクもあります。

4-3.知的財産権の侵害

会社の内部資料や会社のソフトウェアを無断で私的利用しているといった場合、著作権侵害を問われる可能性があります。

また、会社の営業秘密を勝手に持ち出したりすると、会社から損害賠償請求をされるリスクがあります。最悪の場合、刑事告訴されるリスクもあります。

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5.会社との交渉の進め方

会社とトラブルになった場合、これまで見てきたように、いきなり訴えることはリスクが高いため慎重に検討すべきでしょう。先ほども説明したとおり、まずは会社と交渉を行うべきです。ここでは、会社との具体的な交渉の進め方について、交渉のタイミング、交渉の方法、交渉のポイントなどを解説します。

5-1.交渉のタイミング

会社と交渉すべきタイミングはいつでしょうか。先ほどの説明したとおり、会社との交渉が開始されると、会社に引き続き所属して働くことは困難になる可能性が高くなります。

そうだとすると、会社を退職する準備ができたときがベストなタイミングといえるでしょう。会社を退職する準備ができていれば、会社から退職勧奨をされたとしても別の会社で働くことが可能ですので、余裕をもって交渉に臨むことができます。

5-2.交渉の方法

会社と交渉をする方法としては、大きく分けて自ら会社と交渉する方法と、代理人を立てて交渉する方法の2つがあります。以下では、この2つについて具体的に解説します。  

(1)自ら交渉する方法

まず1つ目は、自ら会社と交渉をする方法です。自ら会社と交渉をすれば、代理人を立てる費用がかかりません。また、自分の言いたいことを直接言うことができることもメリットといえるでしょう。

逆に、自ら会社と交渉した場合のデメリットは、会社と直接交渉をすることによる精神的な負担です。会社とトラブルを抱えているだけでもつらいと思いますが、会社の上司や人事などと交渉を行うことは、精神的な負担が大きいといえるでしょう。

また、慣れない会社との交渉により、会社に有利な方向で話をまとめられてしまうおそれもあります。自分が望んでいた結果とは全く違う結果となってしまい、交渉するだけ無駄だったということにもなりかねません。

(2)代理人を立てて交渉する方法

次に、2つ目として、代理人を立てて交渉する方法があります。代理人とは、労働問題に精通している弁護士を指します。弁護士を代理人に立てて交渉を行えば、自ら矢面に立つことなく交渉ができるため、精神的な負担から解放されます。

また、労働問題に強い弁護士が会社と交渉を行えば、会社が有利な方向に話をまとめてきたとしても、法的には認められない旨を主張して対抗することができます。よって、自分で交渉を行うよりも有利になるといえるでしょう。

逆にデメリットは、弁護士費用がかかる点です。着手金のほか日当や報酬金の支払いも生じるため、弁護士事務所によっては費用が高額になることもあります。

5-3.交渉のポイント

会社と交渉を行う際のポイントは、大きく分けて「証拠」と「妥協点」の2つがあります。以下では、この2つのポイントについて具体的に解説します。

(1)証拠を収集した上で交渉を行うこと

まず一つ目のポイントは、証拠を収集した上で交渉することです。セクハラやパワハラがあった、職場いじめがあったと主張しても、証拠がなければ事実かどうかを確認することができず、有利に交渉を進めることができません。また、交渉が決裂し、労働審判や裁判となった場合にも、裁判所に証拠を提出する必要があります。

証拠を収集しておくことは、最も重要な交渉ポイントといえるでしょう。

具体的にどのように証拠を収集するかですが、セクハラやパワハラであればやはり録音が最も効果的です。セクハラやパワハラ発言を録音しておけば、強力な証拠となります。録音をしていなかったとしても、日々のメールやLINEのやりとりなどを保存しておけば有力な証拠となり得るでしょう。

また、未払い残業代の請求であれば、実際の労働時間を毎日記録しておくことが望ましいです。

(2)妥協点を見つけておくこと

二つ目のポイントは、妥協点を見つけておくことです。自分の主張が全て通ればよいですが、交渉では自分の主張が全て通ることはまずありません。会社とどこかで折り合いをつける必要があります。その上で、どこまでなら譲れるのかというラインを設けておくようにしましょう。そうすれば、こちらが譲歩できる部分を交渉材料として交渉を有利に進めることが可能です。

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6.弁護士に相談するタイミング

会社とのトラブルについて、弁護士を代理人に立てて交渉することにした場合、弁護士に相談するタイミングはいつがベストでしょうか。結論から申し上げますと、トラブルが生じた段階でできるだけ早く相談するほうが望ましいといえます。以下では、早めに弁護士に相談した場合のメリットを3つ説明します。

6-1.多くの証拠が収集できる

弁護士に早めに相談すれば、トラブルの当初から適切な証拠を収集することが可能です。もちろん弁護士に相談していなかったとしても依頼者が独自に証拠を収集している場合もあります。しかし、その証拠が裁判や審判で有利になり得るかは、法律の専門家である弁護士でないとわからないことがあります。逆に、本人が重要視していなかったものが重要な証拠である可能性もあります。

よって、弁護士に早めに相談すれば、自分に有利な証拠が収集できる可能性が高まるのです。

6-2.柔軟な交渉が可能

トラブル当初から弁護士が代理人として関与することにより、会社との柔軟な交渉が可能です。逆に交渉途中から弁護士が代理人として関与することとなった場合、すでに交渉が進んでおり、主張が矛盾してしまうことも考えられます。そうなると、弁護士は自由に交渉をすることができなくなり、交渉がうまくいかなくなる可能性もあります。

弁護士に早めに相談することにより、交渉当初から柔軟な交渉が可能となるのです。

6-3.法的に不利とならない

弁護士に早めに相談すれば、過去の裁判例や労働審判をもとに、法的に有利な主張を組み立ててくれます。一方、弁護士に依頼するのが遅くなると、主張が矛盾してしまったり、時期的に主張をすることが不可能になってしまったりします。

弁護士に早めに相談することにより、法的に有利な主張が可能となるのです。

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7.弁護士に依頼する場合の注意点

弁護士に早めに依頼すれば、多くのメリットがあることはおわかりいただけたと思います。では、弁護士に依頼する場合に注意しておくべきことは何でしょうか。以下では、弁護士に依頼する際に注意すべき点を4つお伝えします。

7-1.弁護士費用

弁護士に依頼する場合、弁護士費用がかかります。弁護士費用は大きく分けて着手金と報酬金の2つがあります。そのほか、実費として印紙代や交通費がかかります。以下では主な弁護士費用について解説します。

(1)法律相談料

弁護士に相談する場合、着手する前の相談料として、およそ30分5,000円の相談料がかかることがあります。法律相談料を無料としている法律事務所もありますので、確認してみるとよいでしょう。

(2)着手金

着手金とは、事件に着手する際に弁護士に対して支払う費用のことで、事件が依頼者の希望どおりに解決しなかったとしても戻ってこない性質の費用です。着手金の相場は以下のとおりです。

  • 会社との交渉 1万円~20万円前後
  • 労働審判の申立て 15万円~30万円前後
  • 訴訟提起 20万円~50万円以上

(3)報酬金

報酬金とは、会社から得た経済的利益に対してかかる費用です。経済的利益の額 に応じて変わってきます。報酬金の相場は以下のとおりです。

・ 経済的利益の額の16%~30%

7-2.弁護士の専門性

弁護士であれば誰でも労働問題に詳しいわけではありません。弁護士にはそれぞれ専門性があります。労働問題に詳しい弁護士に依頼しないと、思いどおりの結果が得られないかもしれません。

会社との労働トラブルを抱えている場合、労働問題に詳しい弁護士に依頼する必要がありますが、労働問題に詳しい弁護士かどうかはどのようにすればわかるのでしょうか。一番簡単な方法は、法律事務所のホームページを見ることです。労働問題に詳しい弁護士が所属する法律事務所であれば、労働問題が専門であることや、労働問題の解決実績などが掲載されているはずです。弁護士に相談する場合は、事前にホームページをチェックするようにしましょう。

7-3.交渉方針

弁護士に依頼する前に、相談段階で交渉方針を確認しておきましょう。弁護士は依頼者の利益のために仕事をしてくれますが、依頼者の方針と弁護士の方針が合致するとは限りません。

弁護士は、依頼者の話を聞いて法的な主張を組み立てます。できる限り依頼者の希望に沿うような主張を組み立てますが、およそ法的に成り立たないような主張に関しては主張できないこともあります。

よって、弁護士に依頼する前に、弁護士の主張方針を確認しましょう。弁護士の方針が自分の方針と合わない場合、弁護士の方針の理由を聞いてみましょう。その方針に納得できるのであれば弁護士に依頼してもよいですし、納得できないのであればその弁護士に依頼しないこともできます。後で「考えていた方針と違った」とならないよう、弁護士と事前に方針についてすり合わせておきましょう。

7-4.契約書の確認

弁護士に依頼することが決まったら、弁護士と委任契約を締結します。委任契約を締結する前に、契約書の中身について確認するようにしましょう。特に報酬額や発生時期については弁護士との間でトラブルになる可能性があるため、不明な点があれば事前に質問するようにしましょう。

8.まとめ

会社とのトラブルを抱えていたとしても、会社を訴えるのはリスクが伴います。自分1人で悩まずに、早めに弁護士に相談してみましょう。その際、労働問題に強い弁護士かどうかはホームページで確認するようにしてください。労働問題に強い弁護士であれば、強い味方となってくれるはずです。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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