誹謗中傷・名誉毀損

「パパ活してる」と書かれた!削除請求や発信者情報開示は可能?

「パパ活してる」と書かれた!削除請求や発信者情報開示は可能?
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インターネット上の掲示板やSNSに、全く身に覚えのない虚偽の内容を書き込まれた場合、その書き込みを削除したり、投稿した相手を特定して損害賠償請求をしたいと考える人も多いと思います。

しかし、削除請求や発信者情報開示請求は、裁判所が名誉権などの権利が侵害されていると認めた場合でなければ請求が通りません。

そこで、今回は、具体例として、「パパ活をしている」と事実無根の内容を書き込まれた場合に削除請求や発信者情報開示請求が認められるかどうかを解説します。

1.削除請求・発信者情報開示請求の方法

⑴ 削除請求

削除請求は、問題の投稿がなされている掲示板やSNSの運営会社に対して任意で削除してもらうよう依頼する方法があります。

しかし、リベンジポルノのような権利侵害が深刻な場合でなければ、運営会社が迅速に削除に応じてくれない場合が多いのが実情です。

運営会社に任意で削除してもらえない場合には、裁判所に削除の仮処分の申立てをする方法で削除を求めることになります。

⑵ 発信者情報開示請求

発信者の個人情報を特定する場合、

①まずは、掲示板やSNSの運営会社などのコンテンツプロバイダに対して、発信者情報開示の仮処分を行ってIPアドレスなどを開示してもらう必要があります。

②IPアドレスの開示を受けることができたら、IPアドレスから投稿者が契約しているプロバイダを特定し、そのアクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こして、発信者の氏名・住所等の個人情報を開示してもらうことになります。

2.「パパ活」で削除・開示請求が認められる?

上記のように、削除請求も発信者情報開示も仮処分という裁判手続きが必要になりますが、裁判所は、「パパ活をしている」との書き込みについて、削除や投稿者の情報開示を認めてくれるのでしょうか。

結論としては、裁判所は「パパ活」に関する投稿の発信者情報開示を認めています。

以下は、令和3年の事案ですが、小学校教諭の女性が、なりすましの第三者によってパパ活をしている旨の投稿をされてしまい、この投稿者の情報開示を求めた事例です。

裁判所は、「本件投稿記事における「パパ活」との意味につき判然としない点はあるものの,男性から金品の提供を受けて一時的な同伴,交際等をする行為を指すものと考えられ,必ずしも肉体的関係を伴うものではないとしても,女性においては,経済的な見返りを目的として不特定多数の男性との同伴,交際等を重ねるという点で,社会的には不適切な行為として捉えられ,あるいはそのような評価がされることが少なからずあるものと解され,その社会的評価を低下させることは否定し得ない上,その点をおいても,原告が当時,小学校の教諭という,児童の教育をつかさどるべき職責を負っていたことも考慮すると,やはり社会的評価の低下は免れないというべきである。」として、女性の請求を認めてプロバイダに対して投稿者の情報開示を命じました。

3.「パパ活してる」という投稿は名誉棄損

⑴名誉権侵害(名誉棄損)とは?

上でも説明したように、削除請求や発信者情報開示請求は、名誉権の侵害などの権利侵害がなければ認められません。

名誉権は、人の外部からの社会的評価をみだりに低下させられない権利とされていますので、名誉権侵害(名誉棄損)というためには、「その投稿がその人の社会的評価を低下させるかどうか」が問題となります。

⑵「パパ活」は女性の社会的評価を低下させる

裁判所も解説していますが、「パパ活」という言葉は必ずしも肉体関係(売春)を指す訳ではないとしても、男性からお金や物をもらうことと引き換えに交際をするものであることから、社会的には不適切な行為と評価されており、結果として「パパ活してる」と投稿されることは、その人の社会的評価を低下させるものといえます。

裁判所も、この点を認め、パパ活をしているという投稿によって女性の権利が侵害されていることが明らかだとして、権利侵害をした投稿者の情報開示を認めたという訳です。

上記は発信者情報開示請求の事例ですが、同様の名誉棄損の理屈で削除請求についても認められると考えられます。

4.まとめ

今回は、インターネット掲示板やSNSに「パパ活してる」と書かれた場合に、削除請求や発信者情報開示請求が認められるかという点を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

このような事実無根の内容を書き込まれてお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

インターネットトラブルの専門チームが対応させていただきます。

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担当者

甘利 禎康
甘利 禎康法律事務所リーガルスマート協力弁護士
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院終了
2010年12月 弁護士登録
2010年12月 都内大手事務所にて勤務
2021年3月 優誠法律事務所設立

■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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