誹謗中傷・名誉毀損
DMで誹謗中傷された場合、相手の特定や慰謝料請求はできるの?

TwitterやInstagramなどのSNSで誹謗中傷された場合、発信者情報開示請求で投稿した人を特定することができ、慰謝料を請求できることは過去の記事でご説明してきました。
では、Twitterなどからダイレクトメッセージ(DM)で誹謗中傷された場合にも相手を特定したり、慰謝料を請求することができるのでしょうか?
最近、DMで誹謗中傷されたという相談も増えてきましたので、今回は、DMで誹謗中傷された場合に発信者情報開示請求ができるかどうか、慰謝料請求ができるかどうかなどについてご説明します。
1.DMでの誹謗中傷に対する慰謝料請求は難しい
結論から言ってしまうと、TwitterなどのSNSのDMで誹謗中傷された場合、慰謝料を請求するのは難しい場合が多いです。
仮に、Twitterのツイートやリツイート、コメント機能など、不特定多数の人の目に触れる形で誹謗中傷をされた場合には、その内容が名誉棄損や侮辱などに該当すれば、慰謝料を請求することができます。
これは、ツイート機能などの場合、名誉棄損や侮辱が成立するために必要な要件である「公然性」が認められるためです。
これに対し、DMの場合は、基本的に1対1のやり取りになり、公然性がありませんので、名誉棄損や侮辱には該当しません。
そのため、DMの場合は、基本的には慰謝料請求が難しいといえます。
ただ、その内容や程度によっては、脅迫やストーカー行為など別の違法行為に該当する場合もあり、慰謝料が請求できる場合もあります。
2.DMは発信者情報開示請求も難しい
仮に、悪質なDMを送ってきた人が特定できていれば、上記のように内容によっては慰謝料を請求することは考えられます。
一方、相手が誰だか分からない場合には、まず相手を特定しなければ慰謝料を請求することはできません。
そこで、相手を特定するために発信者情報開示請求という手続きを行うことが思い浮かぶと思います。
しかし、残念ながら、発信者情報開示請求について定めているプロバイダ責任制限法では、「不特定多数の人に対する通信を媒介している特定電気通信役務提供者」が対象とされています。
そのため、DMのようなものは不特定多数に対するものとはいえませんので、DMを送ってきた相手に対する発信者情報開示の仮処分などは認められません。
このように、民事の手続きでDMの発信者の情報を開示させることは難しいですが、脅迫罪やストーカー規制法違反などの犯罪が成立する場合には、警察が対応してくれる可能性があります。
内容によっては、お近くの警察署で相談することも検討してみてください。
3.DMの内容を公開した場合には慰謝料請求・発信者情報開示請求も可能
これまでご説明したとおり、DMでの誹謗中傷については、慰謝料請求や発信者情報開示請求は難しいですが、相手がDMでのやり取りをツイート機能などで公開した場合には、不特定多数の人の目に触れることになりますので、公然性の要件を満たすことになります。
そのため、1対1でのDMの内容でも、相手がそれを公開した場合には、内容次第で名誉棄損や侮辱として慰謝料請求の対象となります。
また、相手が分からない場合には発信者情報開示請求で相手を特定することも可能になります。
4.まとめ
今回は、DMで誹謗中傷された場合に慰謝料請求や発信者情報開示請求ができるかどうかについてご説明しました。
DMでのやり取りについては、なかなか弁護士がお手伝いできることは少ないですが、内容や程度によっては慰謝料請求ができる場合もあります。
お困りの方は、当事務所のインターネットトラブル専門チームにご相談ください。
投稿者プロフィール
- 弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
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■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院終了
2010年12月 弁護士登録
2010年12月 都内大手事務所にて勤務
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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