誹謗中傷・名誉毀損

ネット誹謗中傷の損害賠償請求の内容と金額は?弁護士が解説!

ネット誹謗中傷の損害賠償請求の内容と金額は?弁護士が解説!
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インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、投稿者に対して慰謝料等の損害賠償請求をしたいと考えることは自然なことでしょう。

今回は、誹謗中傷に対する損害賠償請求の内容や、具体的に見込まれる金額等について説明いたします。

1.誹謗中傷とは

「誹謗中傷」という言葉は、一般的には根拠のない悪口を言いふらして、他人を傷つける行為を指しますが、実は法律用語ではありません。

誹謗中傷の損害賠償請求に関係する法律用語としては、主に「名誉毀損」や「侮辱」があります。

⑴名誉毀損とは

名誉毀損とは、事実を摘示することである人の社会的な評価を低下させることを言います。

摘示した事実が真実であっても、名誉毀損に該当し得ます。

例えば「●●は不倫している」などです。

ただし、事実の摘示が、

  • ①公共の利害に関する事実にかかわりこと
  • ②目的が専ら公益を図ることにあったこと
  • ③摘示された事実が真実であるか、真実であると信じるについて相当な理由があること

が認められる場合には、違法性がないとして名誉毀損は成立しません

例えば政治家の不正についての報道などは、違法性がないために名誉毀損が認められない典型です。

⑵侮辱とは

侮辱とは、名誉感情を侵害する行為を言います。

名誉感情とは、自己自身で与える自己の人格的価値に対する意識や評価のことです。

名誉毀損と侮辱の大きな違いは、侮辱はその人の社会的評価を低下させなくても成立するということです。

例えば「死ね」などの表現が該当します。

侮辱と名誉感情については、こちらの記事で詳しく解説しています。

どんな言葉が名誉感情の侵害になるの?事例をもとに解説!

⑶その他

「誹謗中傷」の語感からは外れるかもしれませんが、その他ネット上での肖像権やプライバシーの侵害も損害賠償請求の対象となります。

これらの権利については、こちらの記事で詳しく解説しています。

どんな「誹謗中傷」が裁判の対象となるの?

2.投稿者がわからない場合は?

ネット上での誹謗中傷の場合、投稿者が不明である場合が少なくありません。

その場合は、まずは発信者情報開示手続を進め、投稿者を明らかにする必要があります。

発信者情報開示手続については、こちらの記事で詳しく解説しています。

発信者情報開示請求とは?手続きの流れと新制度を弁護士が解説!

3.請求できる損害賠償の内容は?

投稿者が明らかになった場合、いよいよ損害賠償請求を行うことになります。

損害賠償請求は、交渉あるいは裁判で求めていくことになりますが、どういった費目がどのくらい請求できるのでしょうか。

⑴慰謝料

名誉毀損や侮辱によって負った精神的苦痛について、慰謝料を請求できます。

裁判例で認められている金額は、名誉毀損の場合で10万円から60万円程度、侮辱の場合で数万円から10万円程度というケースが多いです。

ただし、リベンジポルノなど権利侵害の程度が大きい場合や投稿の期間によっては、100万円を超える慰謝料となることもあり得ます。

また、裁判ではなく任意交渉の場合は、必ずしも先例に拘束されません。

投稿者に社会的地位のある場合など投稿者側が早く手打ちにしたいと考えるような場合には、裁判例相場よりも高額の示談が成立することもあります。

⑵発信者情報開示の弁護士費用

ネットでの誹謗中傷では、投稿者が誰かわからないため、上記のとおり発信者情報開示手続を行い投稿者を特定する必要があります。また、投稿を削除するための削除請求が必要となる場合もあります。

裁判例によっては、発信者情報開示や削除請求の弁護士費用を投稿者に負担させることを認めているものもあります

ただし、弁護士費用全額の請求を認める裁判例もあれば、一部しか認めない裁判例もあり、弁護士費用の請求を認める裁判例の中でも金額にはかなりばらつきがあります。

さらに、弁護士費用の請求を全く認めなかったという裁判例もあります。

現状では、弁護士費用の投稿者への請求がどの程度認められるか、確定した取り扱いはない状況と言えるでしょう。

発信者情報開示の弁護士費用については、こちらで詳しく解説しています。

発信者情報開示の依頼費用は相手に請求できる?弁護士が解説!

4.まとめ

今回は、ネット上の誹謗中傷に対する損害賠償請求について、投稿者に請求できるものの費目や相場などについてお伝えしました。

相場はあくまで相場にすぎず、結局は個別事情によるところになります。

弊所ではインターネットの専門チームを設けておりますので、請求金額についてもお気軽にご相談いただければと思います。

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担当者

栗田 道匡
栗田 道匡弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画

■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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