誹謗中傷・名誉毀損
ネット誹謗中傷の削除請求とは?要件や手続き方法、費用を解説!

掲示板やSNSなどでご自身について不名誉な投稿がなされた場合、そのような投稿を削除したい、と思われるでしょう。
今回は、ネット投稿の削除請求について、要件や手順、注意事項について見ていきたいと思います。
目次
1.削除請求とは
削除請求とは、投稿のなされた掲示板やSNSの管理者(これらを「コンテンツプロバイダ」といいます。)に対し投稿の削除を請求することを言います。
投稿者が判明している場合には、投稿者に直接掛け合って削除を請求することもありますが、今回は、5ちゃんねるやTwitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)等のコンテンツプロバイダに対する削除請求について解説します。
2.削除請求の要件について
削除請求は、投稿者を特定する発信者情報開示請求のように法律で要件が決まっているわけではありません。
基本的には、名誉権やプライバシー権といった人格権の侵害に対する差止請求権の1つとして認められています。
したがって、まず、名誉権やプライバシー権といった人格権が侵害されていることが要件となります。
また、誰が被害者かが判断できることも要件の1つです。
裁判例などでは、これを「同定可能性」と呼ぶことが多いです。
「同定可能性」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
3.削除請求の手順
削除請求の手順、方法としては、大きく3つの方法があります。
⑴ウェブフォームからの削除依頼
サイト上に削除依頼フォームが用意されていれば、これを使ってコンテンツプロバイダに対して削除を依頼することができます。
最も手軽で、弁護士を使わずご本人でも無理なくできる手続きと言えます。
とはいえ、適切な依頼内容でなければ削除はしてもらえません。
また、削除について強制力はありません。
⑵テレサ書式での削除依頼
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が、「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」という書式を公開しています(TOP | プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト (isplaw.jp))。
この書式による削除依頼を受けたコンテンツプロバイダは、多くの場合、まず自社内で削除すべきかを検討し、違法性の有無が明らかでない場合は投稿者に対して意見照会をすることになります。
強制力があるわけではないですが、プロバイダ責任制限法3条2項において、意見照会から7日以内に投稿者から削除に同意しない旨の回答がない場合は削除によって投稿者に損害が生じてもコンテンツプロバイダは賠償責任を負わないとされていることもあり、削除に応じてもらえるケースも多い印象です。
ただし、書式の適切な記入が必要であり、ウェブフォームを利用する場合よりも手間がかかります。
⑶削除仮処分
上記2つの方法で削除されない場合は、裁判所に削除を命令してもらう手続きである削除仮処分を検討することになります。
これまでの手続きと大きく違うのは、削除が認められた場合に強制力があることです。
ただし、権利侵害の説明や証拠の提出について知識が必要であり、弁護士に依頼して行うことが一般的です。
また、一時的に裁判所に納める担保金(多くは30万円程度)が必要となります。
4.削除請求に関する弁護士費用
削除請求では、こちらの事情を適切に説明し、提出する資料を吟味する必要があります。
そのため、できれば弁護士に依頼して進めることが望ましいと言えます。
弁護士費用には大きく着手金と報酬金がありますが、ウェブフォームからの削除依頼やテレサ書式での削除依頼の場合は着手金5万円から10万円、報酬金5万円から10万円、削除仮処分の場合は着手金20万円から30万円、報酬金20万円から30万円ということが多いようです。
削除請求の弁護士費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
5.削除請求に関する注意事項
削除請求については、下で説明する発信者情報開示請求と異なり、時間制限はありません。
ただ、後に発信者情報開示請求や慰謝料請求を行うことを検討されている場合、漫然と対象の投稿を削除してしまうと、証拠を消してしまうことになります。
後に発信者情報開示請求や慰謝料請求を検討されている際は、削除の前にスクリーンショット等で証拠を取っておくことをお勧めします。
証拠の押さえ方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
6.発信者情報開示請求とは
単に投稿を削除するにとどまらず、投稿者に対して慰謝料を請求したいという場合もあるでしょう。
この場合、投稿者が不明であれば、まずは投稿者を特定する手続きが必要になります。
この手続きを発信者情報開示請求と言います。
発信者情報開示請求は、プロバイダ等のログ保存期間との関係で早めの行動が必要です。
発信者情報開示請求については以下の記事を参考にしていただければと思います。
7.まとめ
今回は、削除請求の要件や手順、注意事項等についてご説明しました。
削除請求は、主張や資料の吟味について適切な対応が必要な場面ですので、できれば弁護士にご相談の上進められるのが望ましいと言えます。
弊所ではネットトラブルの専門チームを設けておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
投稿者プロフィール
- 弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
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■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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