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花王の炎上でみる!企業の炎上対応

花王の炎上でみる!企業の炎上対応
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大企業から中小企業、スタートアップにいたるまで、インターネット上で発信することが多くなってきました。

それに伴って、いわゆる「炎上」(=企業の発信に対して多くの人から批判が寄せられる状態)してしまった発信も目立つようになってきました。

もっとも、炎上してしまった際にどのような対応をすればいいのか?実際に他社はどのような対応をしたのか?については、意外と知られていないように思います。

そこで、実際の事例を基に、企業がどのような対応をして、その結果どのような結果となったのかについて見ていきたいと思います。

第1回目の今回は花王株式会社(以下「花王」といいます)の事例を取り上げたいと思います。 企業の炎上対応として参考にすべき点が多く見られると思います。

▼第二回目の記事はこちらー株式会社吉野家編ー

吉野家の炎上でみる!企業の炎上対応

1.どのような炎上か?

花王といえば、多くの人が一度は使ったことがあるような素晴らしい商品を沢山だしている日本を代表する企業の一つです。

2021年の売上は約1.4兆円、従業員は連結対象で3万人以上もいます。

2023年10月11日、同社が運営するTwitterアカウント「花王メリット 公式 Kao Merit Shampoo」にて、要約すると以下のようなツイート(以下「当該ツイート」といいます)がされました。

  • 国際カミングアウトデーに絡め、同単語のハッシュタグを利用していた。
  • 同社のシャンプー製品「メリット」に関し、「実は…#ノンシリコーン シャンプーなんですよ。」「#国際カミングアウトデーということで、みなさんが知らなそうなことをカミングアウトしてみました。。。」と投稿した。

これが、「国際カミングアウトデーは性的マイノリティにとって自身の性的事項をカミングアウトする日であり、そのような性的事項のカミングアウトと関係ないことをつぶやくのは国際カミングアウトデーの趣旨を誤解している」旨の批判が相次ぎました。

2.花王の対応

SNSをはじめとしたインターネットにおける炎上対応は、いくつか悩むポイントがあります。

今回は、いくつかのポイントごとに花王の事例を基に考察していきたいと思います。

注意点としては、どのパターンを採用してもさらに火力があがってしまったケースもあれば、沈静化したケースもありますので、完全なる正解があるわけではありません。

今回の記事は、あくまで個別事例だと思って読んでいただければと思います。

⑴謝罪するか、反論や釈明をするか、無視するか

結論から言えば、花王は謝罪選択しました。

最初のツイートから謝罪ツイートまでの時間は「1日と約3時間」でした。

⑵謝罪内容

よくある謝罪のパターンは、非を素直に認めるというより「誤解を与えてしまって申し訳ありませんでした」というようなものです。

今回の花王の謝罪は、上記のようなものではなく、「国際カミングアウトデーを正しく理解せず、思慮に欠けた投稿をしたことについて、深くお詫び申し上げます。」という、ツイートについて素直に非を認めて謝罪をしたものでした。

この謝罪に対して、Twitter上での反応は、

「花王あやまったの偉いぞ」「私も国際カミングアウトデーという言葉も意味も知らなかったので勉強になりました」「元ツイ見たけど全く問題ない範囲では…」「キチンと対応していて安心しました」「この謝罪ツイートは近年で1番よろしいと思う。誤解を招いたとか使ってなくて、言い訳がましくないので良い」

など、ほとんどが好意的なものとなっていました。

⑶当該ツイートの削除

今回は花王は当該ツイートを削除していません(2022年10月17日現在)。

これに対して、「謝罪ツイートだけ見ても何について謝っているのかわからないから、削除しないのはありがたい」といった好意的な反応がありました。

⑷プレスリリース

会社の正式な意見表明や謝罪の形として、プレスリリースを出す場合も多いですが、今回の場合、現時点では花王としてプレスリリースは出していません。

⑸記者会見

現時点では、花王は本件について記者会見を行っておりません。

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3.世間の反応

⑴Twitterでの反応

当該ツイートのコメントが約380、引用リツイートが約1900でありその多くが国際カミングアウトデーの意味をはき違えたとした批判的なコメントであったことからすると、当該ツイートは炎上したといえると思います。

ただし、翌日の謝罪ツイートについては、コメント約400、引用リツイートが約1000、いいねが約9800であり、コメントや引用リツイートの多くが好意的なものであったことからすると、Twitter上での炎上は謝罪ツイートによりほとんど沈静化したといえるのではないでしょうか。

⑵Twitter以外のニュースで取り上げられたか

スポーツ新聞やWebメディアなど、複数のメディア今回の件を取り上げていました。

そしてそれらがYahoo!ニュースに転載されていたため、目に触れた人は多かったかもしれません。

もっとも、「辛辣」で評判のヤフーコメントの数は、多い記事で2300件程度、少ない記事では50件以下というものもありました。

そして、そのコメントの内容も花王に好意的なものも多く、「カミングアウトって言葉を使う事ってそんなに悪いことでしょうか?」「LGBT当事者ですが変に思い空気にされると逆にいいづらくなるから、花王さんくらいのノリでいいんですけどね..」といったものもありました。

⑶業績への影響

売上などへの影響はまだわかりませんが、株価については、当該ツイートの日(10月11日)が5653円であったのに対して、謝罪ツイートの日(10月12日)は5703円、10月17日現在は5717円と、あまり大きな影響はなかったことがうかがえます。

※もちろん株価は様々な要因が絡んでいるのでこれだけで何か判断できるわけではないですが参考まで。

⑷人事面での影響

現時点で、代表取締役を始めとした役員人事などの人事面での影響は表にでてきていません。

4.まずはご相談を

企業がPRやマーケティング活動をしていくなかで、炎上を完全に防ぐことはとても困難です。

炎上対応においてとても重要なのは、初動をどのようにするかです。

様々な事例をもちそれをもとに炎上対応ができるだけはなく、いきすぎた誹謗中に対して法的対応(削除請求、開示請求、損害賠償)も可能な弁護士にまずはご相談ください。

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担当者

甘利 禎康
甘利 禎康法律事務所リーガルスマート協力弁護士
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院終了
2010年12月 弁護士登録
2010年12月 都内大手事務所にて勤務
2021年3月 優誠法律事務所設立

■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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