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顔や体の写真を晒された!肖像権侵害となる基準を弁護士が解説!

顔や体の写真を晒された!肖像権侵害となる基準を弁護士が解説!
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弊所では、他人から勝手に写真や動画を撮影され、それがSNSや掲示板に晒されてしまった、というご相談を受けることが多いです。

特に、顔や体の写真がアップロードされることで、現実の生活にも影響が及ぶことがあり得ます。

このような場合には、まず投稿を消すように請求すること(削除請求)や、再発防止や損害賠償の前提として誰が投稿したのかを特定する手続き(発信者情報開示請求)を行うことになります。

ですが、どちらの手続きについても、原則として「権利の侵害」が必要になります。

今回は、「権利の侵害」があるといえるか、検討すべき点や注意すべき点についてご説明します。

1.まずは肖像権侵害を検討

削除請求や発信者情報開示請求の際に検討すべき権利の種類は下記の記事でまとめていますが、自身が晒された場合については特に「肖像権」という権利が問題になることが多いです。

▼削除請求や発信者情報開示請求の際に検討すべき権利の種類はこちらを参考にしてください。

以下では肖像権とは何か、どのような場合に肖像権が認められるのか、という点を説明していきます。

2.肖像権とは?

肖像権という概念は、法律に記載があるわけではありません。

しかし、判例(最高裁平成17年11月10日判決民集59巻9号2428頁)においては、

  • 人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する
  • 人は、自己の容ぼう等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益も有する

とされています。

したがって、みだりに他人から写真を撮影されたり、その写真を公表されない人格的利益が判例上認められていると言えます。

3.肖像権侵害の判断基準は?

⑴ 最高裁の示した判断基準

肖像権が判例上認められているからと言って、承諾なく写真を撮影したり公表する行為のすべてが肖像権侵害に該当するわけではありません。

先ほど紹介した最高裁判例は、被撮影者の承諾がない撮影について、

①被撮影者の社会的地位、②撮影された被撮影者の活動内容、③撮影の場所、④撮影の目的、⑤撮影の態様、⑥撮影の必要性等の総合考慮して、社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべき、としています。

そして、撮影が違法とされた場合は、撮影された写真の公表も違法となるとしています。

⑵ 考慮要素の検討

いろいろと考慮要素が並んでいるのでいくつか検討すると、①被撮影者の社会的地位については、例えば被撮影者が政治家など公人である場合には肖像権侵害がないという方向に考慮されます。

②撮影された被撮影者の活動内容については、公開イベント参加中の撮影については肖像権侵害がないという方向に考慮されますし、他方で全くの私生活上の行為の撮影については、肖像権侵害がある方向に考慮されます。

③撮影の場所については、公共の場であれば肖像権侵害がない方向に考慮され、自宅内の撮影であれば肖像権侵害がある方向に考慮されます。

⑤撮影の態様については、例えば特定の人物に焦点を当てたものではない場合は肖像権侵害がない方向に考慮されますが、他方で、特定の人物のみに焦点を当てている場合や、被撮影者の状態が一般的に羞恥を感じる状態である場合などは、肖像権侵害がある方向で考慮されます。

最高裁は、以上のような考慮要素を総合的に考慮して社会生活上受忍の限度を超えるといえるか、という判断基準を示しています。

4.事例で考えてみると

簡単に事例で考えてみると、例えば、公共の場所を撮影したところ歩いているだけの人がたまたま映り込んでしまった、というような場合は、②撮影された被撮影者の活動内容が特に恥ずべき行動ではない点や③撮影の場所がプライベートな場所ではないこと、⑤撮影の態様が特に個人を被写体とした隠し撮りなどではないこと等に照らして、肖像権侵害がないと判断される可能性があります。

他方で、公共の場所での撮影であれば直ちに肖像権侵害がないというわけではありません

先ほどからご紹介している最高裁判例は、社会的に耳目を集めたカレーライスへの毒物混入事件に派生して生じた事件のものですが、週刊誌カメラマンが手錠をされ腰縄をつけられた状態の被疑者を撮影したものです。撮影は法廷という公開された場所でなされましたが、裁判所は撮影を不法行為法上違法と判断しました。③撮影の場所こそ公開された法廷ですが、④撮影の態様について裁判所の許可がない隠し撮りだったことや、被撮影者が手錠や腰縄を付けられていた状態だったという点が考慮された結果ではないかと考えられます。

したがって、公共の場所での撮影であっても、例えば泥酔状態や肌の露出の大きい状態の被写体を撮影する場合などは、④撮影の態様に照らして肖像権を侵害すると判断される可能性があります。

5.その他検討すべき権利

肖像権のほかにも、私生活上の秘密を撮影されたような場合はプライバシー権侵害、写真や動画の公開が被撮影者の社会的評価を下げる場合には名誉権侵害(名誉毀損)も検討する必要があります。

なお、ご自身の顔や身体の写真・動画が晒されたという事例の中でも、いわゆるリベンジポルノに該当するものは、リベンジポルノ防止法という特別法も制定されており、特別の考慮も必要になります。

リベンジポルノについては以下の記事をご参照ください。

6.まとめ

今回は、写真や動画を晒された際に問題となることが多い肖像権について解説しました。

肖像権侵害があるというためには、上記の最高裁判例の考慮要素についてきちんと主張を組み立て立証する必要があります。

そのためには、肖像権について扱った経験のある弁護士を頼るのが確実です。

弊所ではネットトラブルチームを設置し、当然肖像権侵害についても扱っておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

投稿者プロフィール

栗田 道匡弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
弁護士法人優誠法律事務所所属。
弁護士法人PRESIDENTの協力弁護士として、ネットトラブル等の案件を担当。
突然トラブルに巻き込まれた方に寄り添うことのできるよう尽力しています。問題の解決に少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。

■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画

■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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