リベンジポルノ
裸の写真をバラまくと脅迫された!被害を防ぐための方法を解説!

元交際相手などから「裸の写真をネットでばらまく」「性行為中に撮影した動画をネットでバラまく」などと脅されているというご相談が度々寄せられています。
お話を伺っていると、裸の写真や性行為中の動画は、交際相手からの撮影要求を断り切れずに撮られたものである場合や、ご自身で撮影したものをLINEなどで相手に送ってしまったものである場合が多いようです。
今回は、裸の写真や性行為中の動画の撮影を承諾してしまい、後日それをもとに脅されてしまったというケースや、実際にネット上にアップロードされたしまったというケースの対応についてご説明いたします。
1.成立しうる犯罪
このような被害に遭ってしまった場合、警察に相談しようと考えられる方がほとんどだと思います。
警察は犯罪成立の可能性がある場合に動いてくれるため、まず犯罪が成立しないかを確認していきましょう。
⑴盗撮行為(迷惑防止条例違反)
撮影そのものが盗撮行為として犯罪にはならないのでしょうか。
盗撮行為は迷惑防止条例にて犯罪とされています。
しかし、今回のケースは撮影自体は承諾してしまっているので、盗撮行為には該当しません。
(なお、もし盗撮であれば当然迷惑防止条例違反となります。)
⑵児童ポルノ禁止法
ただし、被写体の方が18歳未満の場合は、撮影そのものが児童ポルノ禁止法違反に該当する可能性があります。
加害者が自分で撮影した場合だけでなく、自撮りを送らせた場合であっても児童ポルノ禁止法違反に該当し得ます。
⑶脅迫罪、強要罪、恐喝罪
脅迫罪、強要罪、恐喝罪はいずれも刑法に規定のある犯罪です。
脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した場合に成立します。法定刑は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
強要罪は、上記の脅迫又は暴行により、人に義務のないことを行なわせたり、権利の行使を妨害したりした場合に成立します。未遂も処罰されます。法定刑は3年以下の懲役です。
したがって、「写真をばらまくぞ」と言われれば脅迫罪、「写真をばらまかれたくなかったら復縁しろ」と言われればその時点で強要未遂罪が成立する可能性があります。
恐喝罪は、脅迫・強要とは少し毛並みの違う犯罪で、被害者を畏怖状態に陥れたうえで財物を交付させたり財産上の利益を与えさせた場合に成立します。未遂も処罰されます。法定刑は10年以下の懲役です。
したがって、「写真をばらまかれたくなかったら100万円払え」などと言われればその時点で恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
⑷リベンジポルノ防止法違反
実際に裸の写真や性行為中の動画が公開されてしまった場合は、リベンジポルノ防止法違反となります。
リベンジポルノ防止法は、ネット上に写真や動画が公開されると世界中に際限なく拡散してしてしまい深刻な被害を招くことから、2014年に成立した比較的新しい法律です。
とりわけ、社会の耳目を集めた三鷹ストーカー殺人事件の加害者がリベンジポルノ行為をしていたことが知られることで社会問題化したことで成立しました。
リベンジポルノ防止法違反は、「第三者が撮影対象者を特定できる方法で」、裸の写真や性行為中の動画を公開した場合に成立します(公表罪、3条1項)。
法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
また、直接公開しなくても、公開させる目的で他人に写真や動画を提供した場合にも成立します(公表目的提供罪、3条3項)。
法定刑は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
なお、刑事裁判を起こすために被害者の告訴が必要となる親告罪とされています(3条4項)。
2.警察への相談
以上のとおり、裸の写真や性行為中の動画を公開する、と告げられた場合や、実際に公開されてしまった場合には、犯罪が成立することになります。したがって、警察に相談した場合、捜査に動いてくれる可能性があります。
そして、このようなことが起こってしまった場合、多くのケースでは警察に相談すべきです。
警察は写真や動画の削除をしてくれるわけでありませんが、捜査が進んでいく中で、加害者の自発的な削除が期待できる場合もあります。
特に、先にご説明したとおりリベンジポルノ防止法違反は親告罪とされていますので、捜査を希望するのであれば警察への被害申告が必須です。
警察でも、サイバー犯罪相談窓口や性犯罪被害相談窓口(ハートさん)を設けたりと対策を行っていますので、活用されることをお勧めします。
また、警察に相談される際は、写真や動画がアップロードされているページのスクリーンショットやURL情報を用意していくとよいでしょう。
3.民事の対応などは弁護士に相談
ただし、警察に相談することですべてが解決するわけではありません。
捜査がすすんだとしても加害者が自発的に動画や写真を削除しない場合は、結局民事上の手続きでこれらを削除させることが必要になります。
また、動画を拡散すると脅された場合や実際に公開されてしまった場合には、当然被害者は大きなダメージを受けることになり慰謝料請求を行うことができますが、これも警察が行ってくれるわけではなく、民事上の請求が必要です。
これらの民事上の請求については、理屈上はご自身で行うこともできますが、リベンジポルノ案件の経験のある弁護士に頼ることが望ましいです。
着地点を見据えて交渉することができますし、裁判手続でも適時適切な進行が期待できるためです。
そもそも、リベンジポルノ被害者ご本人が加害者と直接交渉することは精神的な負担が非常に大きいです。弁護士に依頼すれば加害者との交渉は全て弁護士が行うことになりますので、精神的な負担が大きく軽減されます。
以上の理由から、民事上の請求に関しては弁護士に頼ることが望ましいと思われます。
なお、万が一警察が告訴を受け付けてくれないというような場合には、告訴の手続を弁護士に依頼することもできます。
4.まとめ
今回は、写真や動画をバラまくぞと脅されてしまった場合や、実際にネット上に公開されてしまった場合の対処法についてご説明しました。
犯罪成立の可能性がありますので警察に相談し、民事上の対応については弁護士を頼ることをお勧めします。
当事務所では、インターネットトラブルの専門チームがありますので、是非ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
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■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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