リベンジポルノ

リベンジポルノの時効はある?刑事と民事の時効の違いを解説!

リベンジポルノの時効はある?刑事と民事の時効の違いを解説!
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「リベンジポルノ被害を受けたが期間が空いてしまっている」「数年前に自身の裸の写真がアップロードされていたようだが最近になって気づいた」という方は、リベンジポルノの時効について気になるのではないでしょうか。

今回は、リベンジポルノに時効があるのか、あるとすれば何年なのか、という点について解説します。

1.時効には刑事と民事の2つ

一般的にいう時効には、

  • 一定期間が経過すると刑事裁判の起訴ができなくなるという公訴時効
  • 民事上の権利が一定期間行使されない場合に消滅することをいう消滅時効

があります。

※これとは別に民事上は取得時効というものもありますが、本記事の内容から逸れるので割愛します。

以下では、リベンジポルノ行為に関する刑事法上の公訴時効と民事法上の消滅時効についてご説明いたします。

2.刑事法上の公訴時効

⑴リベンジポルノ防止法

リベンジポルノ行為は、リベンジポルノ防止法違反(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)となります。

リベンジポルノ防止法違反の行為は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、あるいは1年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります(同法3条)。

そして、刑事訴訟法250条2項6号では、公訴時効は、「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年」を経過することで完成するとされています。

したがって、リベンジポルノ防止法違反行為の時効は3年ということになります。

⑵脅迫罪、強要罪

リベンジポルノ行為は脅迫罪や強要罪となる行為を伴う場合がありますが、これらの犯罪についても公訴時効期間は3年とされています(刑法222条、223条、刑事訴訟法250条2項6号)。

⑶恐喝罪

リベンジポルノ行為は恐喝罪となる行為を伴うことがあります。

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役とされており(刑法249条)、リベンジポルノ防止法違反や脅迫罪、強要罪よりも重い刑が定められています。

法定刑が重いことに伴い公訴時効期間も7年とされています(刑事訴訟法250条2項4号)。

どのような場合に脅迫罪や強要罪、恐喝罪となるかについては、こちらの記事をご参照ください。

⑷児童ポルノ禁止法

被写体、被害者の方が18歳未満である場合には、児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性があります。

そして、児童ポルノが不特定または多数の者に提供されたり、不特定もしくは多数の者に提供する目的で製造された場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金となります(児童ポルノ禁止法違反7条6項、同条7項)。

この場合には、公訴時効期間は5年となります(刑事訴訟法250条2項5号)。

⑸起算点の問題

以上のとおり、犯罪類型によって公訴時効期間は異なります。

しかし、そもそも公訴時効のカウントはいつから開始するのでしょうか。

刑事訴訟法253条1項は、「時効は、犯罪行為が終わった時から進行する。」と定めています。

したがって、基本的には写真や動画をアップロードした時点からカウントが開始することになります。

しかし、写真や動画がインターネット上に存在する限り、被害は続いていると考えられ、単純に「アップロードが完了してから●年」と考えることは適切ではないと思われます。

アップロードで犯罪が終了するのではなく、その後も犯罪が継続していると考えるべきではないかという問題意識です。

この点について大阪高裁判決平成16年4月22日判決は、インターネット上の名誉毀損について、書き込みが完了した時点を犯罪終了時とせず、その後もその書き込みが閲覧できる状態が続いている限りは犯罪は終了しないとし、加害者がその後書き込み削除のための行動をとった時点で犯罪終了と判断しました。

この裁判例は名誉毀損行為についての事案であり、公訴時効期間ではなく後述の告訴期間についての判断ですので、リベンジポルノ行為の公訴時効期間についても直ちに同様に考えられるかという問題はありますが、参考になるものと思われます。

以上から、アップロード時点から公訴時効期間が経過していたとしても、写真や動画がインターネット上にあって他人が閲覧できる限り、公訴時効は成立しないとの考え方もあり得るものと思います。

⑹親告罪の告訴期間

上記で述べた犯罪のうち、リベンジポルノ防止法違反は、刑事裁判の起訴のために被害者の告訴が必要な親告罪とされています(同法3条4項)。

そして、親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過するとできなくなります(刑事訴訟法235条)。

この告訴期間についても公訴時効期間と同様起算点の問題はありますが、期間制限があることについては注意が必要です。

3.民事法上の消滅時効

⑴不法行為責任の消滅時効

リベンジポルノ被害を受けたときに問題となる民事法上の請求としては、削除請求と損害賠償請求があります。

このうち、削除請求については特に消滅時効は設けられていません

他方で、損害賠償請求については消滅時効が設けられています

リベンジポルノ被害を受けた場合の損害賠償請求は、民法上の不法行為責任に基づいて請求することになりますが、民法724条は消滅時効について以下のとおり定めています。

第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
① 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
② 不法行為の時から20年間行使しないとき。

このうち②についてはわかりやすいですが、①の「損害及び加害者を知った時」についてはたびたび問題になります。

まず、3年の消滅時効は、被害者が損害発生を知らなければカウントが開始されません

したがって、5年前に自分の裸の画像がアップロードされていたが、つい先日それを知ったというような場合は、消滅時効は成立していないことになります。

加害者を知った時」に関しては、判例は、「加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当」とし、被害者が不法行為の当時加害者の住所氏名を的確に知らず、しかも当時の状況においてこれに対する賠償請求権を行使することが事実上不可能な場合には、その状況が止み、被害者が加害者の住所氏名を確認したとき、初めて「加害者を知った時」にあたる、と判断しています(最高裁昭和48年11月16日)。したがって、例えば加害者の名前がわからない場合や、連絡先、住所がわからない場合には、3年の消滅時効のカウントは開始されません

⑵発信者情報開示の事実上の期間制限に注意

加害者の名前や連絡先、住所が不明な場合は、損害賠償の前提として投稿者(加害者)を特定するために発信者情報開示の手続きを先行させることになります。

この手続きには、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダそれぞれのログ保存期間の問題があり、遅くとも投稿から2か月程度、ケースによっては投稿から2週間程度で動かなければ投稿者の特定に至らないことがあります。

加害者の身元がはっきりしていない場合は、以上の事実上の期間制限に注意が必要です。

4.まとめ

今回は、リベンジポルノ行為に関係する時効についてご説明しました。

刑事法・民事法いずれも時効が設けられているため、責任追及のためには早めに動くことが必要になります。

弊所では、ネットトラブルについての専門チームを設置しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

投稿者プロフィール

栗田 道匡弁護士法人PRESIDENT協力弁護士
弁護士法人優誠法律事務所所属。
弁護士法人PRESIDENTの協力弁護士として、ネットトラブル等の案件を担当。
突然トラブルに巻き込まれた方に寄り添うことのできるよう尽力しています。問題の解決に少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。

■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画

■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
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