交通事故被害
交通事故の通院にかかった交通費は請求できるの?弁護士が解説!

1.結論
①電車・バス(公共交通機関)の交通費は請求可能
②自家用車の交通費はガソリン代として請求可能
③タクシーの交通費は請求可能だが、使用に注意が必要
④駐車場代は認められるが、領収書に注意
2.認められる交通費と必要書類
移動手段 | 必要書類 |
---|---|
公共交通機関 | 特にありません |
自家用車 (駐車場代を含まない) | 特にありません |
タクシー | タクシーの領収書 |
駐車場代 | 駐車場の領収書 |
その他 | その他の通院に要した費用についてはご相談ください。 |
特に請求として認められやすいものは上の四つになります。
その他、通院のために出費したもので、請求できるかどうかわからないものがあれば弁護士にご相談することをおすすめします。
3.こんな時には要注意
請求内容 | 注意事項 |
---|---|
公共交通機関や自家用車等 | 通院経路が複数ある場合 |
公共交通機関 | 定期券を利用している場合 |
自家用車での通院費用(駐車場代を含まない) | 自宅と職場等と治療機関の位置関係 |
タクシー | 怪我の内容やタクシーの利用期間 |
①通院経路が複数ある場合
通院経路が複数ある場合は、各経路をできる限り正確に報告・請求することが必要です。
(例:平日は職場から医療機関へ通院し帰宅し、土日は自宅から医療機関へ通院し帰宅したなど。)
通院経路を忘れてしまった場合などは、交通費請求が困難となることがありますので注意が必要です。
【ワンポイント】
ICカード(SUICA等)をご利用であれば、通院日と照合できるように利用明細を取っておくのも一つの手です。
②定期券を利用している場合
ご通院される際に、一部または全部が定期券の区間内となることがあります。
その際には定期券の区間分の交通費は請求ができませんので、注意が必要です。
【ワンポイント】
通院期間中に定期券が切れてしまっていた場合はどうでしょうか。
この場合も、もともと通勤のために払う必要があったと考えられますので請求は難しいと考えられます。
しかし、通院を要しない休みの日などについては、通院のための損害として認められる可能性があります。
③自宅と職場等と治療機関の位置関係
ご自宅とご勤務先とご通院先の医療機関の位置関係が問題となることがあります。
例えば、位置関係が、「ご勤務先ーご自宅ーご通院先」という位置関係であればご勤務先から通院していてもご自宅からの往復分が請求できます。
これはご勤務先からご自宅までの距離はそもそも通勤で自分が払うべきものだからです。
そのため、「ご自宅ーご勤務先ーご通院先」という位置関係であればご勤務先からの往復分が請求できます。
一方、「ご自宅ーご通院先ーご勤務先」という位置関係ですと、通勤ルートにご通院先が入っているため交通費が請求できないこととなります。
実際には、このような線上に並ぶことはなく平面的に考えていくことになりますので、より複雑になります。
④怪我の内容やタクシーの利用期間
タクシーの利用については、注意すべき点があります。それは、タクシー利用の必要性です。
タクシーは高額となりやすいため、保険会社が認めたくないと考える請求のうちの一つで、「タクシー利用の必要性がない」といって、タクシー代を認めないことがあります。
必要性が認められるポイントは2つです。
- ①徒歩での通院が難しいかどうかです。特に足をお怪我されている場合には、公共交通機関や自家用車ではむずかしいということでタクシー代が認められやすいです。
- ②お怪我をされてからどのくらいの時間が経っているかです。
事故から1〜2ヶ月くらいが経過すると、怪我は良くなってきているのだから歩いて通院することができるのではないかといわれることが多くなります。
実際に裁判等でも、タクシー利用の必要性が認められないことがありますので、リスクを避けるという観点から極力、公共交通機関や自家用車でのご通院をお勧めします。
やむをえずタクシーを利用せざるを得ない場合には、弁護士とご相談の上、リスクを把握することが必要です。
4.法律上の問題点
これら交通費の請求は、実際にかかった費用(実費)での請求となることが通常です。
その際に問題になるのは、元々お金がかかる予定だったか、そうでないかです。
結論から言うと、元々お金がかかる予定だったものは損害として認められません。
たとえば、自家用車で通勤途中にある病院などに通った場合は交通費が認められません。
これは、通勤のために元々ガソリン代を出す必要があったので、通院そのものに対して発生した交通費がないためです。
このようなことを、ご自身で検討することは手間がかかります。
また、事案が解決したとしても不満が残るかもしれません。
弁護士にご相談いただければ、できるできないのより分けをしてもらえるので、このようなモヤモヤがなくなるかもしれません。
交通費の請求に迷ったら、弁護士に相談してみましょう。
投稿者プロフィール

- 弁護士法人PRESIDENT弁護士
-
■経歴
2010年3月 早稲田大学法学部卒業
2013年3月 早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2017年1月 弁護士登録
2017年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務
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