交通事故被害
交通事故の発生から示談(解決)までの流れを弁護士が徹底解説!

目次
1.交通事故被害者が、まず直面する「わからない」
弊所では、多くの交通事故被害者の方からのご依頼を受けます。
その中で、特に多いご質問は、交通事故に遭ったあとの流れがわからないというものです。
そこで、今回は交通事故に遭われた被害者の方に向けて、交通事故の発生から示談(解決)までの流れを解説します。
2.交通事故に遭ったときの流れ
2-1.大枠の流れ
場面 | ポイント | 目安期間 |
---|---|---|
事故現場での対応 | 警察への通報・届出加入保険会社への連絡 | 事故後直ちに |
通院 | 通院先(整形外科、整骨院接骨院) | むち打ちの場合1-6ヶ月程度 |
自賠責請求 | 通院費等、後遺障害申請 | 請求時から1-2ヶ月 (異議申立ての場合は3ヶ月程度) |
示談交渉 | 納得できない場合は示談しない | 1-3週間程度 |
ADR・裁判 | 示談交渉の内容に納得できない場合に取りうる手段 | ADR:3-4ヶ月程度裁判:6ヶ月以上 |
示談 | 示談書を交わし、入金 | 示談/和解成立から1ヶ月程度 |
2-2.各場面の詳しい解説
(1)事故現場での対応
(1)–①警察への通報
交通事故に遭ってしまったら、まずは警察に通報しましょう。
警察に交通事故としての受け付けがされないと、賠償請求ができなくなってしまうことがあります。
必ず通報するようにしましょう。
(1)–②人身事故と物件事故
交通事故で怪我をした場合、警察から「人身事故」とするかを確認されます。
「人身事故」は怪我を伴う事故のことで、実況見分調書(詳しい現場見取り図)がつくられます。
「物件事故」は物が壊れただけの事故という意味です。
怪我をした場合、原則としては「人身事故」届を出す必要がありますが、実務上は「物件事故」であっても怪我の補償が受けられることがあります。
ご不安な場合は弁護士にご相談ください。
特に「人身事故」届けを出すメリットは、主として過失に争いがある場合に警察の実況見分調書を証拠として使えるということになります。
(1)–③実況見分とは
実況見分とは、事故当事者が交通事故現場で警察に対し事故の内容を説明し、警察の捜査用資料の作成に協力するものです。
(1)–④保険会社への連絡
相手に保険会社への連絡を依頼しましょう。
相手が保険会社への連絡を失念していたりすると、治療費を自費負担しなくてはならなくなるなど負担が増えることになります。
少なくとも相手の保険会社の確認を忘れずに行いましょう。
自分で直接聞きにくい場合は、警察から相手の名前、住所、保険会社の情報を聞いてもらえないか確認してみましょう。
(2)通院
(2)-①通院先はどうしたらいいのか
まずは、整形外科に通いましょう。
交通事故により怪我をしたことということを判断できるのは医師のみです。
接骨院や整骨院に通う場合は、必ず整形外科に通院した上で通院しましょう。
特に医師の指示がある場合には、接骨院や整骨院の治療費請求をした場合に、相手方の保険会社から接骨院や整骨院への治療費支払いに異議がでにくくなります。
医師に接骨院や整骨院への通院の有無を確認して、通院を認めてもらうことが不可欠です。
(2)-②通院の頻度はどれくらい通うべきか
基本的には治療の専門家である医師や柔道整復師の方の意見に従いましょう。
なお、慰謝料請求は通院期間と通院日数などをもとに計算します。
通院日数が少なすぎると慰謝料が減額される可能性があります。
具体的には、弁護士への依頼なしで2日に1回、弁護士への依頼ありで3日に1回程度通院すると、回数が少ないことによる減額の可能性は少なくなることが一般的です。
(2)-③通院の終わり
交通事故による怪我が治るか、治療の効果がなくなった(症状固定)ときに交通事故の賠償の対象となる治療が終了となります。
(3)自賠責請求(治療費の請求、後遺障害の申請)
自賠責保険とは、自動車損害賠償責任保険の略称です。
自賠責保険とは強制加入の保険であり、任意加入する保険会社とは独立して独自に事故の調査を行います。
(3)-①自賠責に請求するケース
自賠責に請求する場合は、主として①後遺障害申請をするケースと②相手方と治療期間や治療費について意見が合わず争いになってしまったケースがあります。
(3)-②自賠責に請求するメリット
・後遺障害について
後遺障害は認定された場合、ご通院によって発生した慰謝料や休業損害とは別に後遺障害による慰謝料や逸失利益(将来的なお仕事の減収)を請求できるようになります。
・治療期間や治療費に争いがある場合
自賠責保険は任意の保険会社と異なり、独自の調査によって治療費の認定を行います。
また、被害者保護の観点から、一般的に治療費認定のハードルは任意保険より低いです。
そのため、治療費や治療期間に争いがある場合は自賠責保険へ請求をすることで治療費の支払いを受けることができる可能性があります。
(3)-③自賠責に認められなかったら
自賠責に治療費等や後遺障害が認められなかった場合、自賠責に対し「異議」の手続きを行うことができます。
また、自賠責用の仲裁機関として「自賠責紛争処理機構」に対して異議申立てができます。
(4)示談交渉
(4)-①何が請求できるのか
請求できる物は怪我により請求できるものと、物的損害に分かれます。
本稿では、怪我により請求できる代表的なものについてまとめます。
物的損害(物損)についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
怪我によって請求できる物(代表的な例)
- 治療費
- 通院交通費
- 慰謝料
- 休業損害
- など
(4)-②納得できない場合は示談しない
ご自身で交渉される場合、これを話せば金額が上がるというものはありません。
納得がいかないのであればしっかりとその旨を伝え、その場で示談をせず、弁護士に相談することが重要です。
一度示談をしてしまうと、その結果を覆すことは極めて困難です。
(5)ADR・裁判
(5)-①ADR・裁判とは
ADRとは裁判外紛争解決手続のことです。
これは裁判以外の手続きによって交通事故などの争いを解決できるように斡旋してくれるものを指します。
一般的に、ADRの方が裁判より迅速かつ手続のための手数料が安価であることが多いです。
(5)-②どんな時にADRや裁判になるのか
相手の示談の提案金額や、交渉の中で提案された金額にどうしても納得できない場合はADRや裁判で解決を求めることができます。
(6)示談
(6)-①示談の効果
示談をすると、示談内容に応じた金額を払ってもらうことができます。
しかし、一度示談をするとやり直しはできませんので、注意しましょう。
(6)-②示談の手順
示談書や免責証書という書類にサインや押印をすると示談成立とされることがほとんどです。
ただし、法律上は示談に書面の作成は必要ありません。
金額に納得がいかない時や疑問がある時は、口頭で「その金額でいいです」などというだけでも示談が成立してしまいますので注意しましょう。
3.各場面で弁護士に依頼するメリット
交通事故の被害者が弁護士に依頼されるのは主として、通院を開始してからとなることから、通院開始以降の各場面で弁護士に依頼するメリットを解説します。
(1)通院
まず、加害者(または加害者の保険会社)からの連絡に対し、弁護士が対応するため、手間や精神的負担が軽減します。
また、保険会社は、それまで治療費の支払い対応をしていたものを、特定の日以降は払わないといってくる(いわゆる「治療費の打切り」)ことがあります。
弁護士に依頼した場合、弁護士の交渉により、保険会社による治療費の支払対応を継続できる可能性があります。
(2)自賠責請求
自賠責請求は、関係書類が多く複雑なため、被害者自身が行うのは大きな手間となります。
弁護士に依頼することで、どんな書類を集めれば良いのかが明確になり、申請の手続きを行う手間もありません。
(3)示談交渉
保険会社は、弁護士委任していない方と弁護士委任をしている方だと、慰謝料基準が全く異なります。
弁護士に委任するだけで慰謝料が高くになる可能性が大幅に上がります。
(4)ADR・裁判
訴状などの必要書類は、専門家でなければ、正しく作成することが難しいです。
また、ADRや裁判は開催期日に当事者が出席しなければなりません。
弁護士へ依頼をしていれば、弁護士のみが出席すれば問題ありません(尋問など一部手続きを除きます)。
(5)示談
示談しても良い金額かどうかは弁護士が入っていれば、弁護士が相場観に基づいてご説明しますので、金額に対して「これでいいのかな」という不安がなくなります。
4.まとめ
弊所は年間約3,000件以上のご相談をいただいており、交通事故対応の実績が豊富です。
納得のいく示談のためにも、交通事故でお困りの際は一度ご相談ください。
投稿者プロフィール
- 弁護士法人PRESIDENT弁護士
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■経歴
2010年3月 早稲田大学法学部卒業
2013年3月 早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2017年1月 弁護士登録
2017年1月 弁護士法人PRESIDENTにて勤務
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